イーサリアムクラシック(ETC)はシステム全体のソフトウエアアップデートを成功させた。これは2016年に分離したイーサリアム(ETH)との相互運用性を強化するための取り組みの一環。
今回のハードフォークは「アトランティス(Atlantis)」と呼ばれ、ネットワークのルールを順守するためにすべてのユーザーがアップグレードする必要がある。
イーサリアムクラシックのスタートアップ、イーサリアムクラシック・ラボ(Ethereum Classic Labs)のリリースによると、アトランティスには、安定性とパフォーマンスの向上、オペコード、プリコンパイル 、zk-SNARKの追加、安全性の強化など、10件のイーサリアム改善提案(Ethereum Improvement Proposals:EIP)が含まれていた。
「アトランティスが稼働している。皆、おめでとう」とハードフォーク・コーディネーターのアフリ・シェーデン(Afri Schoedon)氏は述べた。
一方、イーサリアムクラシック・コーオペレイティブ(ETC Cooperative)のデベロッパー・リレーション・ディレクター、ヤズ・コーリー(Yaz Khoury)氏は、このフォークでは「多くの不変性に関する方針に沿って合意に達するために、最も長い議論のひとつ」が行われたとツイッターで述べた。
「非中央集権と分散化コミュニティーの利点について多くを学んだ」
当初アトランティスは今年の夏に予定されていたが、特にEIP170を巡って意見が食い違い延期された。
誰かひとりがハードフォークに貢献したわけではない。そうではなく、イーサリアムクラシック・ラボはチェーンセーフ・システム(Chainsafe System)、イーサリアムクラシック・コーオペレイティブ、その他のコミュニティーメンバーと協力してハードフォークを行った。
今週はじめには、ノードの約60%とハッシュパワーの75%以上のアップグレードが確認された。大手取引所のコインベース(Coinbase)、ポロニエックス(Poloniex)、バイナンス(Binance)、ビットレックス(Bittrex)、クラーケン(Kraken)、シェイプシフト(Shapeshift)、オーケーイーエックス(OKEx)は、イーサリアムクラシック・ラボに対して、アトランティス対応ソフトウエアへのアップデートを確認した。
CoinDeskとのインタビューでイーサリアムクラシック・ラボのCEO、テリー・カルバー(Terry Culver)氏は、アトランティスはイーサリアムと連携する強い意欲を表していると述べた。
アトランティスのEIPの多くは長年イーサリアムで行われてきたものであり、特に分散型アプリケーションのために、プラットフォーム間でのより多くのクロスオーバーを可能とするもの。
「ハードフォークは、明らかに我々が互換性とイーサリアムとの連携に全力を傾けていることを示している」とカルバー氏。
「我々がやりたいことは、2つのチェーンが互いにサポートしあう方法を見つけること」
イーサリアムは「The DAO」事件の後、2016年にイーサリアムクラシックをハードフォークした。ハッキングされた資金調達メカニズムは仮想通貨コミュニティーに亀裂を生んだ。プロジェクトは分かれたままだが、依然として多くの同じ目標を共有しているとカルバー氏はCoinDeskに語った。
ハードフォークは延期されたものの、そのプロセスは議論を引き起こさなかったとカルバー氏は述べた。
「我々はパブリック・ブロックチェーンの強さを信じている。それはまさにコミュニティーの強さの上に築かれている」
ハードフォークの数時間、デジタルカレンシー・グループ(Digital Currency Group)の創業者兼CEO、バリー・シルバート(Barry Silbert)氏は、イーサリアムクラシック・コミュニティー向けのパブリックなディスコード(Discord)グループに参加し、ジョークを言った。
「イーサリアムクラシック・アトランティス・コインを手にすることを楽しみにしている」
そしてハードフォーク後には、「皆、ナイスワーク」と付け加えた。
翻訳:Emi Nishida
編集:増田隆幸
写真:Ethereum classic image via Shutterstock
原文:Ethereum Classic Successfully Executes ‘Atlantis’ Hard Fork