バイナンス(Binance)、バイナンスUS(Binance US)、チャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)の3者は、アメリカ証券取引委員会(SEC)が彼らに対して行った訴訟が「ハウィー・テスト(Howey Test、証券であるかどうかを判定するもの)」の要件を満たしていないと、12月12日に新たな提出書類で主張した。
バイナンスとジャオ氏(通称CZ)は、バイナンスUSとともにSECの主張に対する答弁書を提出した。バイナンスUSは、SECが取引所の顧客が 「投資契約」 の定義を満たすような契約を結んでいることを示していない、また、最高裁判例の他の要素を満たしていると主張する、別個の、しかし同様の文書を提出した。
これは、SECがバイナンスとバイナンスUSが特定の暗号資産(仮想通貨)を上場してステーキング・サービスを提供することで、一般大衆に未登録証券の購入と取引を許可したと主張し、規制当局が6月に提出した訴訟の却下を求めた最新の答弁だ。
バイナンスは最近、アメリカ司法省(DOJ)、商品先物取引委員会(CFTC)、外国資産管理局(OFAC)、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)とさまざまな罪状で和解したが、9月にSECの提訴についてはその権限を超えていると主張し、訴えの却下を申請した(7月のCFTCによる訴訟の却下申請でも同様の主張をした)。
バイナンスとバイナンスUSの両社は、12日の提出書類(却下申し立てに対するSECによる棄却申し立てへの回答)の中で、規制当局が取引所のユーザーが特定の暗号資産を購入した後に何らかの義務があることを示していないと主張し、ハウィー・テストを必要とする投資契約がないと主張した。
司法省との和解
バイナンスもまたSECに反発しており、現在進行中の訴訟における、同取引所の司法省への有罪を認める答弁、FinCENの同意命令、ジャオ氏の司法省への答弁などを付け加えている。
SECは、これらの和解は、バイナンスがアメリカで事業を展開し、アメリカの顧客にサービスを提供し、取引のためにアメリカのインフラを利用していることを十分に認識していたことを示していると主張した。
「ジャオとバイナンスの司法取引および同意命令は、裁判所が共同の却下申し立てを棄却するさらなる根拠となる」とSECは述べた。
12日に提出された別の書類の中で、バイナンスは、証券法は銀行秘密法(BSA)や国際緊急経済権限法(バイナンスとジャオ氏が和解した2つの罪を規定する法律)のように適用されないと主張した。バイナンスとジャオ氏は「BSAに基づく管轄権の容認は、SECの請求を証券取引法の適用範囲に入れるものではない」と主張した。
また、和解と同意命令は証券取引法に関わらないとも主張している。
「司法省との司法取引が、バイナンス・ホールディングス・リミテッド(BHL)とジャオ氏がBSAに違反したことを示すものであっても、問題となっている暗号資産が証券法または取引所法に基づく有価証券であるというSECの理論が公正に通知されたかどうかについては、何ら言及するものではない」と申請書は述べている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Danny Nelson/CoinDesk
|原文:SEC Hasn’t Met Legal Requirements to Sue, Binance Says in Latest Bid to Dismiss Lawsuit