FRB（米連邦準備制度理事会）の政策決定の一環として13日に発表されたドットチャートは、FRB関係者が2024年の利下げ幅を75ベーシスポイントと予想していることを示した。3カ月前に政策当局者が予想していた利下げ幅は25ベーシスポイントにすぎなかったが、大幅に引き上げられた。
株式市場と債券市場が急騰
金融緩和への期待から従来の市場はすでに10月以来急激な上昇傾向にあったが、このニュースを受けてさらに急騰。アメリカの3つの主要株価指数はすべて1％以上上昇し、ダウ平均は史上初めて3万7000ドル（約518万円、1ドル140円換算）を突破した。株価は14日に再び上昇したが、上げ幅は前日よりも小さかった。
債券市場の上昇はさらに大きく、米2年債利回りはこのニュース以来約40ベーシスポイント低下し、5月以来の最低水準となる4.32％となっている。現在のフェデラルファンド金利が5.25～5.5％であるため、2年物金利が4.32％になるということは、大幅な利下げが間もなく行われるとの強い確信を示している。
実際、シカゴ・マーカンタイル取引所（CME）のFedWatchツールでは現在、FRBが1月にも25ベーシスポイント利下げする確率が21％、3月までに1回以上の利下げが行われる確率が84％となっている。
他の金利に敏感な市場をチェックすると、13日のFRBニュース以来、ドルインデックスは約2%下落し、金は2.5%上昇している。この二つは、伝統的金融（TradFi）が今のところ利下げのストーリーを完全に認めていることを示すさらなる根拠だ。
FRBのハト派的なシグナルはビットコイン（BTC）価格も押し上げ、今週は数分間で5％以上下落した日曜夜の「フラッシュクラッシュ」から回復しつつある。本稿執筆時点では4万3200ドルで推移しており、暴落前の価格から約1％の水準まで戻っている。
市場参加者は先回りしているのか？
FRBの2024年の利下げ予想中央値は75ベーシスポイントだが、市場は150ベーシスポイント近い利下げを織り込んでいる。言うまでもなく、より控えめなFRBの予想の方であっても実現には経済やインフレの大幅な減速が必要になる。
今年は景気後退が差し迫っているという主張が盛んだが、データはそうではないことを示し続けている。第3四半期の国内総生産（GDP）伸び率は年換算で5.2％と驚異的で、政府による大幅な新型コロナウイルス関連の刺激策がまだ経済全体に浸透していた2021年第4四半期以来の高い水準となった。さらに14日には、週間の新規失業保険申請件数は2カ月ぶりの低水準まで大幅に減少し、11月の小売売上高が予想外に増加するというよりいっそう経済の良好さを示すニュースがあったばかりだ。
インフレに関しては、直近の消費者物価指数（CPI）に基づくインフレ率は3.1％と、2022年のほぼ2桁の水準からは大幅に低下したが、依然としてFRBの目標である2％を大きく上回っている。通常FRBの政策立案者がより注目するコアインフレ率はより下がりにくく、直近の数値ではまだ4％もある。
｜翻訳・編集：林理南
｜画像：Shutterstock
｜原文：TradFi Goes All-In on Fed Rate Cuts. What It Means for Bitcoin
