ビットコインETFは今週にも承認されると多くの人が語っている。ビットコイン(BTC)にとって画期的な出来事だが、メディアが盛り上げているだけかもしれない。
ビットコインはすでにメインストリームの注目とウォール街からの関心を集めている。ビットコインETFがもたらすものは、ビットコイン価格にポジティブなモメンタムを生み出す可能性に加えて、成熟のサインだろう。
言い換えれば、ビットコインETFをめぐるブル(強気)ケースは「合法化」に集約される。米証券取引委員会(SEC)の現委員長であるゲーリー・ゲンスラー氏が就任する以前から、アメリカ政府は市場操作や詐欺の可能性を理由にETF承認を却下していた。ETFは投資信託の一種であり、伝統的金融の中では比較的新しく、急速に成長している分野だ。
ブラックロック、フィデリティ、ヴァンエックといった伝統的金融大手がビットコインETFを販売しようと承認を求めているだけで、すでに大きな話題となっている。世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、同社がビットコインETFに興味を持ったのは、顧客からの正当な需要があると考えたからだと述べている。
金融商品の可能性を広げる
暗号資産ベースのさまざまなETFがすでに存在しているが、待望のビットコイン現物ETFは、機関投資家がビットコイン投資が簡単にできるようになるだけでなく、一般投資家が間接的にビットコインを退職金口座や401Kを使って保有できるようになる。これにより、暗号資産投資のためのソリューションを長年探してきたファイナンシャル・アドバイザーをはじめ、ビットコインの新しい売り手と買い手が登場することになる。
そして、おそらくより重要なことは、ビットコインETFを中心に構築されるであろう金融商品であり、ブラックロックが個人投資家から超富裕層の投資家向けにまで作成する「モデル・ポートフォリオ」のようなものだ。ビットコインの歴史的なボラティリティは、既製の投資商品に新たな要素を簡単に加えることができる。
こうしたプラグ・アンド・プレイ・モデルが実現すれば、どの金融機関でもビットコインを多くの金融商品に加えることができるようになり、何百万人もの人々が間接的にビットコインに投資できる日が訪れる可能性が広がる。暗号業界にとっては政治的に有利に働くことでもあり、この先、議員たちは有権者に重大な影響を与える決定を下すことを避けるようになるかもしれない。
もちろん、ビットコインETFについては、特定の企業が支配するようになるかどうかなど、未解決の疑問も多い。例えば、ブラックロックが世界最大のビットコイン保有者となった場合、ビットコインの開発とガバナンスにとって、何を意味するのだろうか? 市場監視はSECの要件であり、プライバシーにとっては悪いニュースだが、取引を検閲するための裏口でもあるのだろうか?
ビットコイン保有者はしばらくは状況を注視する必要があるが、まずはビットコインETFが承認されなければならない。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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