SECアカウントからのフェイク投稿でBTC価格が乱高下──1億ドル近くの清算が発生

アメリカ証券取引委員会(SEC)のXアカウントからの一連の偽の投稿による価格変動で、約9000万ドル(約130億円、1ドル=145円換算)相当のビットコイン(BTC)のロングとショートのポジションが清算され、業界に関連する操作リスクが示された。

ハッカーは1月9日にSECのXアカウントを掌握し、それを使って待望のビットコイン現物上場投資信託(ETF)承認が決定したと投稿した。その後、 「$BTC」 と投稿したが、すぐに両方の投稿が削除された。

この投稿により、ビットコイン価格は4万6800ドル付近から即座に4万7680ドルまで急騰した。その後、フェイクであることが判明し、4万5400ドルまで下落した。

しかし、投資家やボットはこの投稿に素早く反応した。データによると、最初の投稿から10分間に5億ドル(約725億円)以上の先物ポジションが建てられたが、高レバレッジのポジションはビットコイン価格の乱高下によって打撃を受けた。約5000万ドル(約72億5000万円)のロングが清算され、約3600万ドル(約52億2000万円)のショートが影響を受けた。

SECの偽投稿の後、建玉が急増した。(Coinglass)

清算とは、トレーダーの初期証拠金の一部または全部の損失により、取引所がトレーダーのレバレッジポジションを強制的にクローズすることを指す。これは、トレーダーがレバレッジをかけたポジションの証拠金要件を満たすことができない(取引を継続するための十分な資金がない)場合に発生する。

このようなデータは、人気のある先物商品からレバレッジが効果的に洗い流されるシグナルとして機能するため、トレーダーにとって有益だ。

提案されている13のビットコインETFに関する決定は1月10日に行われる見込みで、ブルームバーグのアナリストは承認の確率を90%以上、暗号資産(仮想通貨)市場の投機家はそれよりも比較的小さい85%としている。

一方、暗号資産市場参加者の中には、SECのアカウント保護に対するセキュリティ対策が甘いように思えると批判する者もいて、金融規制当局がソーシャルアカウントを保護できないのであれば、どうやって1兆ドル規模の市場を保護することができるのかと問いかけている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Nikhilesh De/CoinDesk
|原文:Fake Bitcoin ETF Approval Tweet Causes $90M in Liquidations