2023年に暗号資産の相対取引が400%増加:マーケットメーカーのウィンターミュートが報告

2023年の暗号資産(仮想通貨)取引高は数年ぶりの低水準となり、暗号資産取引所は「暗号資産の冬」に急激な取引の減少に遭遇したが、それは取引自体が減衰したことを意味しない。

マーケットメーカーであり流動性プロバイダーであるウィンターミュート(Wintermute)の新しいレポートによると、取引所の外に取引が移動したため、相対取引(OTC)の取引高は1年間で400%増加したという。

ウィンターミュートによると、2023年上半期のOTC取引高は減少したが、個別の取引件数は横ばいだった。しかし、下半期には個別取引件数は6倍の2900万件に増加し、1週間あたりのOTC取引高は20億ドル(約2900億円、1ドル=145円換算)に達した。

2023年のOTC取引高。(Wintermute)

「2022年末の市場動向は、業界全体に厳しい見通しを残した。市場は減速し、流動性は枯渇し、取引は取引所からOTCに移行し始めていることが確認されていた」と、ウィンターミュート・グループ(Wintermute Group)のCEO兼共同創設者であるエブゲニー・ゲボイ(Evgeny Gaevoy)氏は報告書の中で述べている。

暗号資産取引における流動性とは、市場価格に大きな影響を与えることなく、いかに簡単に大量の注文を執行できるかということだ。十分な流動性がなければ、大規模な取引を行うことで価格が変動する可能性が高くなる。

流動性不足は2023年を通じて取引所にとって持続的な課題であり、そのため多くの大口機関投資家がOTCに移行している。

CoinDeskが報じたところによると、ビットコインが1年を通して150%以上上昇した時でさえ、市場は流動性の「アラメダギャップ」に悩まされていた。

主要な取引所で0.1%マーケットデプスで測定される流動性が大きく低下した。(Kaiko)

世界最大の暗号資産取引所であるバイナンス(Binance)は、流動性に関して特に困難な時期を過ごした。11月には、アメリカ当局との40億ドル(約5800億円)の和解と、それに続くCZことチャンポン・ザオ(Changpeng Zhao)氏のCEO辞任により、流動性が25%減少した。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Wintermute
|原文:Crypto OTC Volumes on Wintermute Soared 400% in 2023