アメリカにおけるビットコイン(BTC)上場投資信託(ETF)のデビューは、一部で予想されていたような全面的な売り材料にはならなかったが、それでも価格が乱高下したため、ビットコイン先物のロング・ショート合わせて約8000万ドル(約116億円、1ドル=145円換算)の影響が出た。
最初のETFが取引を開始した直後、ビットコイン価格は一時4万9000ドル以上に上昇した。その結果、イーサリアムが(ETH)やソラナ(SOL)などの主要コインの価格が数時間以内に10%も上昇した。
しかし、ビットコインは当初の高揚感が薄れるにつれて反転し、市場観測筋はグレイスケール(Grayscale)のビットコインETFが牽引した数億の取引は売り手によるものであった可能性が高いと述べた。
BTC価格はETFが取引を開始する前の水準である4万5700ドルまで下落し、木曜日後半以降4万7000ドルの大台を突破していない。
グレイスケールのビットコインETFは、現在は廃止されたビットコイン信託商品を再上場したもので、一定量のビットコインの現物を保有し、2023年を通じて割引価格で取引されていた。
このような価格の乱高下により、ビットコイン先物のロングトレーダーもショートトレーダーも混乱した値動きの中で清算に至った。どちらの方向にも4000万ドル(約58億円)近くのビットコインが影響を受け、合計で8300万ドル(約120億円)の清算になった。最も影響を受けた暗号資産(仮想通貨)取引所はバイナンス(Binance)だった。
ビットコインの下落は他の先物商品でも同様の値動きを引き起こし、清算による損失は2億3000万ドル(約333億5000万円)を超えた。これは、市場全体では過去24時間で見ると横ばいであったにもかかわらず、トレーダーが多額の損失を被ったことを意味する。
清算とは、トレーダーの初期証拠金の一部または全部の損失により、取引所がトレーダーのレバレッジポジションを強制的にクローズすることを指す。これは、トレーダーがレバレッジをかけたポジションの証拠金要件を満たすことができない(取引を継続するための十分な資金がない)場合に発生する。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin’s Wall Street Debut Ends in Tears for Futures Traders, Leads to $83M Liquidations