アメリカで承認されたビットコイン現物ETFは、1月16日の取引終了時点でスタートから丸3日が経過、純流入額は2万1000ビットコイン(BTC)、約8億9400万ドル(約1320億円、1ドル148円換算)となっているようだ。ビットコインは当記事執筆時点、4万2600ドル。
ブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust:IBIT)が1万6362BTCでトップ、フィデリティのワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド(Wise Origin Bitcoin Fund:FBTC)が1万2112BTCで続いた。約2万5000BTCを失ったグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)からの大幅な流出が純流入額を減少させた。
先週、米証券取引委員会(SEC)がビットコイン現物ETFを承認するまで、GBTCはクローズドエンド型ファンドとして存在していた。ブラックロックなどのビットコイン現物ETFがスタートしたことに伴い、ETFに転換された。GBTCはETF承認前、顧客に2%の管理手数料を課し、運用残高は約63万BTCに達していた。
ETF転換後、GBTCの管理手数料は1.5%に引き下げられたが、それでもライバルよりも少なくとも1%高い。さらに、ETF転換は、GBTCが純資産価値(NAV)に対してディスカウント価格で取引されなくなったことを意味する。つまり、GBTCをディスカウント価格で購入した保有者には売却のモチベーションが生まれ、現在の流出はそれが起きていることを示している。
とはいえ、ビットコインETFへの新規資金流入がそれを上回り、全体では純流入につながった。
ビットコインは今週、値動きは大きく沈静化し、主に4万2000ドル~4万3000ドルのレンジで推移している。当記事執筆時点では、24時間で1%強の下落、世界最大級かつ流動性の高い暗号資産を追跡するCoinDesk 20 Indexの0.6%下落をさらに下回っている。
ビットコインETF、スタートは成功か失敗か?
今、多くの人の関心は、ビットコインETFのスタートが、成功だったのか失敗だったのかに移っている。ブルームバーグ・インテリジェンスのETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏は、最初の3日間の取引高が100億ドルにのぼったことを指摘し、大成功だったと述べた。同氏によると、2023年には500本のETFが発売されたが、1年間の取引高合計で4億5000万ドルに過ぎなかったという。
失敗派が指摘するのは、スタート後の値動きの悪さ(ビットコインは10%近く下落)、GBTCの売却がかなりの割合を占めていること、そして初期の純流入額はかなりの規模だが、数十億という強気予想には及ばないことだ。
「ダウ・セオリー・レター(Dow Theory Letters)」の編集者、故リチャード・ラッセル(Richard Russell)氏は、「市場が意見を作る」と述べている。ビットコインが今年、5万ドルを突破し、史上最高値6万5000ドル超に挑戦することになれば、ビットコインETFは大きな成功を収めたと評価されることになるだろう。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:iShares Bitcoin TrustのWebサイト(キャプチャ)
|原文:Bitcoin ETF Net Inflows Near $1B After Three Days