ビットコイン(BTC)は、スポット上場投資信託(ETF)の販売開始以来15%以上下落した。金融大手JPモルガン(JPMorgan)は、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)から15億ドル(約2250億円、1ドル=150円換算)が流出したと1月18日の調査報告書で述べている。
ニコラス・パニギスツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストは「過去1年間、GBTCを基準価額から大幅なディスカウントで購入し、最終的なETF転換に備えていたGBTCの投資家は、ETF転換後、他のスポットビットコインETFにシフトするのではなく、ビットコインから完全に撤退することで利益を確定しているようだ」と書いている。
GBTCは信託からETFに昇格する前、アメリカの株式トレーダーにとって、実際に暗号資産(仮想通貨)を購入することなくビットコインの値動きにエクスポージャーを得ることができる唯一の方法だった。そのため、GBTCは世界最大のビットコインファンドになったのだ。
JPモルガンは以前、信託の基準価額に対するディスカウントを利用するため、2023年中に流通市場で最大30億ドル(約4500億円)がGBTCに投資されたと推定していた。この推定が正しくのであれば、すでに15億ドルが退場していることを考えると、利益確定のためにさらに15億ドルが退場する可能性がある。つまり、今後数週間、ビットコイン価格にさらなる下落圧力がかかるだろう。
このような資金流出は、GBTCに手数料引き下げを迫る圧力になると報告書は述べており、「GBTCの手数料1.5%は、他のスポットビットコインETFと比べてまだ高すぎるように見え、さらなる資金流出のリスクがある」と指摘した。
「GBTCが流動性という優位性を失えば、さらに多くの資本、おそらく50億ドルから100億ドル(約7500億円から1兆5000億円)が流出する可能性がある」と同行は警告している。1月19日の時点で、GBTCは他のETFの中で最も手数料の高いETFだ。他のETFの中には、最初の6カ月間、または一定の運用資産額に達するまで手数料がゼロのものもある。
JPモルガンによると、GBTCを除いた他のスポット型ビットコインETFは、わずか4日間で30億ドルの資金を集めた。これは過去のビットコイン商品ローンチ時に見られた資金流入に匹敵するという。
流入した30億ドルの大半は、先物ベースのETFなど既存のビットコイン投資商品からの乗り換えだと報告書は付け加えている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin Exposed to Possible $1.5B in Future GBTC Sales, JPMorgan Says