グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)は14日午前、公に知られているウォレットから1万9000BTC以上を移動させた。アーカム(Arkham)がまとめたデータによると、1月11日にビットコイン現物ETF(上場投資信託)の取引が開始されて以来、グレイスケールはウォレットから11万3000BTC近くを移動させており、その圧倒的多数は売却準備のためにコインベース・プライム(Coinbase Prime)に移されているという。
流出がすべて償還ではない
14日午前時点で、グレースケールのウェブサイトではGBTCが約53万7000BTCを保有していると表示されるが、1月11日以来約10万0000BTC減少している。
アーカムが指摘したように、グレースケールのウォレットからビットコインが流出する動きが観測されたとしても、そのすべてが償還に関連しているわけではないという点に留意が必要だ。アーカムは、「流出は通常、コインベース・プライムと新しいGBTCのカストディアドレスに分割される」と指摘。「これは、移動されたビットコインのすべてが償還されているわけではないことを意味する。流出は前日の取引活動の決済のようだ」と説明した。
GBTCでこの巨額の資金流出が発生した理由はさまざまだが、主にグレイスケールが現物ETFへの転換に伴い管理手数料を50ベーシスポイントだけ引き下げて1.50%としたためだ。これは競合する他の9つのビットコインETFよりも100ベーシスポイント以上高い。グレイスケールの運用資産は今週、1日あたり10億ドル以上減少した。
GBTC売却がビットコイン価格を下押し
GBTCのビットコイン売却ペースの速さはビットコイン価格を圧迫する要因の一つになっている。今週ビットコイン価格は4万ドル(約600万円、1ドル150円換算)を下回り、約2カ月ぶりの安値となった。本記事執筆時点のビットコインは3万9800ドルで、過去24時間でほぼ横ばいだった。
ビットコイン強気派の期待は今週、破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの破産財団が保有していたGBTC2200万口を放出したとの22日のCoinDeskの報道で一時的に盛り上がった。経済に関連しないクジラの売り手がいなくなったことで、強気派はGBTCからの流出が鈍化するかもしれないと期待していた。しかし、今朝の1万9000BTCの取引所への移動が証明しているように、現時点ではそのようにはなっていない。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Wesley Tingey/Unsplash, modified by Speaking of Bitcoin
|原文:Grayscale’s GBTC Has Moved More Than 100K BTC to Exchange Since Spot Bitcoin ETF Launch