「そうです、私がサトシ・ナカモトです」数千億円の示談に向かう、自称ビットコインの生みの親

ビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト」を自称して物議を醸すオーストラリアの起業家クレイグ・ライト(Craig Wright)氏は、裁判の示談に向けて動いている。同氏は数十億ドル相当のビットコイン(BTC)を負担することになると見込まれる。

この裁判は、ライト氏のビジネスパートナーであった故デイブ・クレイマン(Dave Kleiman)氏の兄弟のアイラ・クレイマン(Ira Kleiman)氏が原告のものだ。2018年より続く裁判で、ライト氏がデイブ・クレイマン氏の所有するビットコインを手に入れることを企てたとして、100億ドル(約1兆800億円)を求めて争っている。

ブルース・ラインハート(Bruce Reinhart)下級判事は8月下旬、ライト氏は所有するビットコインの半分と2014年以前の知的財産をクレイマン氏の資産管理人へ引き渡すように命じた。

その判決が最終的なものとなる前に、ライト氏は南フロリダ地方裁判所に対して、クライマン氏の資産管理人と示談交渉のための時間を求める申請を行った。

9月17日(現地時間)に提出された申請書には次のように記されている。

「当事者は現在、誠意を持って示談の交渉を行っています。そのため、これらの議論を円滑にするために、ライト博士と原告は、すべての開示手続きと裁判の期日を30日間延長するよう、丁重に要請します」

さらにこの文書には、「広範な示談交渉」が行われ、関係者は「この件を示談にするための原則的な拘束力のない合意」に達した、と詳述されている。合意に向けた交渉はいまだ続いており、両者は目下、文言や詳細を詰めているところだ。

ライト氏の法務代理人は示談が両者の利益に適っていると主張し、裁判所に30日間の延長を求めた。延長によって、ライト氏はこの裁判において、専門家承認開示などの他の期日も無くすことも可能になる。ライト氏はさらに、9月24日(現地時間)付のラインハート下級判事による制裁命令にも異議を唱える計画である。

クレイマン氏の資産管理人は、示談を詰めるためにさらなる時間を要求することを支持している。

裁判では、ラインハート下級判事はライト氏の証言を信頼に足るものではないと退け、またライト氏が本当にサトシ・ナカモトかどうかについては判断をくださなかった。

翻訳:山口晶子
編集:T.Minamoto
写真:Craig Wright image via CoinDesk archives
原文:Craig Wright ‘in Discussions’ to Settle Multi-Billion Dollar Court Case