自由民主党デジタル社会推進本部web3プロジェクトチーム(web3PT)が取りまとめた「DAOルールメイクに関する提言 ~ 我が国における新しい組織のあり方について ~」が1月25日、自民党政調審議会で了承され、最終版となった。web3PTは今後、金融庁など関係省庁への申入れを行うという。
提言は、日本中で実際にDAOに携わっている事業者を招いて開催した4回の「DAOルールメイクハッカソン」での議論を経て、取りまとめられた。
提言の方向性については、web3PT座長の平将明議員、事務局長の川崎ひでと議員が以下の記事で語っている。
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さらに、平議員は自身の公式サイトで提言について「地方創生や社会課題の解決などに資する組織形態として、ブロックチェーン技術を背景としたDAO(自律分散型組織)が日本全国で成果を上げ始めている中、法令、税・会計などについての不備な点を解消し、DAOの普及を図るための提言です」と述べている。
そして、提言の基本的な方針について、
・省令の改正や運用で対応できるものはすぐに実行する。
・それ以外は更に検討を進め順次実行に移す。
と記している。
提言の具体的な内容をいくつか紹介すると、「提言①:合同会社型DAOを実現するためのルールメイク」として、
テーマ
DAOルールメイクハッカソン の参加団体からの意見の中には、 DAO に法人格を付与する形でDAOを組成・運用したいという要望が多く見られた。 DAOへの法人格付与を検討する場合、既存の様々な法人形態の中では、所有と経営の一致を前提とし、かつ、定款自治が比較的広く認められている合同会社が DAO の実態と比較的親和性が高い
提言
合同会社としてDAO を設立・運営することで(かかるDAOを以下「合同会社型DAO」という)、DAOルールメイクハッカソンの参加団体からの意見のうち、少なくとも以下の点を実現することができると考えられる。
・DAOに対する法人格の付与(DAOを当事者として契約締結、銀行口座の開設等を行うことが可能となる)
・DAOメンバーの有限責任の明確化
・定款自治による比較的柔軟な組織運営
・DAO及びDAOメンバーに対する税務上の取扱いの明確化
テーマ
合同会社型DAOが合同会社の社員の地位を表章するトークン(社員権トークン)を発行する場合、現行法においては、電子記録移転権利に該当し、一項有価証券として金融商品取引法上の比較的厳格な業規制及び開示規制の適用を受けることになる
提言
一定の要件を満たす場合には電子記録移転権利には該当しないものとし、二項有価証券として比較的緩やかな規制を受けられることとする例外を内閣府令の改正によって速やかに認めるべきである 。(内閣府令の改正で素早く対応できる範囲を超える部分については後記 5 提言②において記載する)
「提言②:今後の継続検討事項」として、
テーマ
社員の氏名等の定款への記載義務が、 DAOの匿名性と適合しない
提言
DAOにおける匿名性確保のため、氏名又は名称及び住所の記載の代わりに、一定の要件を満たすKYC済みのウォレットを電子定款に記載する形を認めることを検討すべきである(会社法 576条1項4号の特例)。また、本人以外によるウォレットの使用についての対応を検討すべきである。
テーマ
既存の法形式では、一定の中心的役割を担う者の存在
が前提とされているため、本来的に DAO にそぐわない面がある提言
技術の発展により、中心的役割を担う者がいないとしても取引主体性を認めうる組織も存在しうることから、DAOの特性である分散性・自律性に即した新しい法形式の創設も検討すべきである。
などがあげられている。なお、提言および提言の概要版については、平議員の公式サイトの「DAOルールメイクに関する提言」にリンクが掲載されている。
|文:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:第1回の「DAOルールメイクハッカソン」より。左から平議員、平井議員、川崎議員(CoinDesk JAPAN編集部)