私は、ビットコイン(BTC)の需要が以下の2つの大きな理由によって増加すると予想しており、価格は今後数年で上昇すると考えている。
- ビットコインはグローバル基軸通貨になる:ボーダレスで、各国の法定通貨に代わる中立的な通貨になる。
- アメリカの債務超過は深刻で、インフレに実質的価値を侵食されることなく債務を返済することは不可能なため、米ドルの価値は下落し、投資家は流動性のある非インフレ資産としてビットコインに投資する。
いつ、ビットコインを買うべきか?
基本的に、ビットコインを買うべき状況は2つしかない。
- ビットコインは時間とともに上昇すると信じている場合。
- 将来のある時点で、ビットコインのユニークな機能を利用したいと思う可能性があり、必要なときにビットコインを購入できないリスクがあると考える場合。
投資とは、確率、期待値、不確実性がすべてであり、上記のいずれかの点を確信する必要はない。また、全財産を投資する必要も、まったく投資しない必要もない。ほとんどの場合、少額の割り当てが賢明だろう。
ビットコインを購入することが自分にとって正しいかどうかを見極めるには、ビットコインの将来の値動きに対する期待値と、ビットコインを所有することで得られるであろう効用を把握する必要がある。
ビットコインが自分に合っていると判断した人は、すでに世界中に何億人もいる。おそらくその全員が、ビットコインが時間の経過とともに上昇することを期待しているか、人生のある時点でビットコインのユニークな機能を活用する必要があると考えている。これらの見解を持つ理由は、ビットコインの保有者の数だけある。
ビットコインは上昇すると私が考える理由
今後数年間で、ビットコインの価格を押し上げる以下のようなさまざまな要因があると私は考えている。
- 2024年4月のビットコインの半減期。
- ウォール街の大企業がビットコインETFの販売を開始し、ビットコインETFへの資金流入が増加すること。
- ビットコインに投資する傾向が強い若い世代への継続的な富の移転に伴う需要の増加。
しかし、これらの要因は、すでに需要があることを前提に、需要の変化を説明しているに過ぎない。もし他の原動力がなければ、ビットコインには価値があるという幻想を共有しているに過ぎず、根本的な有用性に価値が根ざしているわけではないため、ビットコインの価値は脆弱なものとなる。
もしそうなれば、批評家たちの言う通り、ビットコインはBeanie BabiesやNFT、あるいはチューリップのように、いずれは崩壊するバブルに過ぎなかったということになるだろう。
私はバブルの取引は好きではないが、ビットコインを保有する数億人の1人だ。その理由は、ビットコインのユニークな特性から多くの本質的な価値が得られると考えているからであり、私の長期的な投資テーゼはきわめてシンプルだ。
私は、ビットコインが世界の金融システムにおいてインフラの一部として機能する重要な資産となり、これが投資家の需要を大きく牽引し、最終的にはビットコインを少なくとも数十万ドルの評価額にまで押し上げると考えている。
私はこれを確信しているわけではないし、全財産をビットコインに割り当てているわけでもないが、多くの人が無謀と考えるほど大きなロングポジションを取るほどには十分な確信を持っている。
国際的に崩壊する信用
私の見るところ、国際政治は多極化、分断化に向かっている。アメリカが明確な覇権国だった時代は終わった。地政学的利害がより均衡し競合する世界では、中国がドルを、アメリカが人民元を、ロシアがユーロを、EUがロシアルーブルを信用できるとは思えない。
ロシアがウクライナに侵攻した際、ロシアの資産は凍結され、政治的利害関係者たちは現在、資産を没収し、ロシアに対して利用しようとしている。世界中がこのことに気づいており、世界中の国家が、自国内で保有している金のような資産の差し押さえを狙っている。
このような背景から、私はビットコインが台頭すると考えている。貿易はグローバルに継続され、グローバルな決済手段が必要になるだろう。
しかし、支払いの受け手が異なる国や地政学的なクラスターで活動している場合、企業や個人はどのように支払いを行うことができるのだろうか?
輸出業者が人民元しか受け付けないのに、あなたがドルしか持っていないとしたらどうなるだろうか?
というのも結局は、アメリカの銀行やアメリカに対する債権であるドルを信用しようとするエンティティ(人や事業者)は、国際的な信用が崩壊したシナリオでは人民元を信用しようとしないからだ。
ドルを両替しても元にはならない。代わりに何が起こっているかというと、ドルを持っている人が、ドルと引き換えに人民元を売ってくれる人を探そうとするのだ。
中国とアメリカの両方を信頼する人がいない場合、つまり、アメリカと中国の両方のエンティティに対して債権を保有する意思のある人がいない場合、あるいは保有できる人がいない場合、ドルと元を直接交換する意思のある人もいないことになる。
しかし、このようなシナリオにおける解決策はシンプルだ。間に中立的で相互に信頼できる資産が必要になる。金(ゴールド)はこの役割を果たすことができるし、歴史的にもそうしてきた。しかし、金を物理的に送るのは不便で、コストもかかる。
石油を使うこともできるが、十分に分割できず、保管や保護にコストがかかる。最後に、スイスのような中立的な小国が仲介役を務めることも考えられるが、大国からの圧力が強すぎるだろう。しかしビットコインは、多くの点でこのために設計されている。
トラストレスな代替手段としてのビットコイン
ビットコインは本質的価値を持つデジタル無記名資産であり、その価値は取引相手に対する債権ではなく、ビットコイン自体にある。価値は変動し、不確実かもしれないが、ビットコインに内在している。
ビットコインは、いかなる国家や中央集権的な権力の集まりによっても管理されていない。また、ビットコインは世界中で、あらゆる通貨に対して取引されており、ほとんどコストをかけずにデジタルで保管・送金することができる。
言い換えれば、手持ちのドルを使ってビットコインを買い、そのビットコインを受取人に送り、受取人は人民元を買うことができる。そうすれば、地理的な信頼の国境を越えて、1年中いつでも、効率的かつ最終的な決済が可能になる。
このようなことは、伝統的な法定通貨ではできない。なぜなら、それらは特定の取引相手(通常は銀行)に対する債権としてのみ存在するからだ。
ビットコイン以前は、すべてのデジタル資産は債権だった。ビットコインは、カウンターパーティリスクのない世界初のデジタル無記名資産だ。
債権は、その債権を行使できる司法管轄区域内と、それに関連する信頼の仲間内では通貨として流通可能だ。しかし債権は、その管轄区域や信頼の仲間内の外では通貨として流通することも、受け入れられることもない。尊重されることを保証する方法がないからだ。
それだけでなく、発行者や国家があなたの行動を好まなかったり、あなたをリスクの高いユーザーとして分類した場合、政治的な理由であなたの手元にあるお金が使えなくなるリスクもある。
私は、ビットコインは中立的なグローバル通貨となり、分断された世界における世界貿易の接着剤の役割を果たすと信じている。そうなれば、最小公倍数の役割を果たせため成功するだろう。
どの国家や商業団体のお気に入りにもなることはないだろうが、競合する国家の通貨や、貿易しないという選択肢よりは好まれるだろう。
国際金融においてドルを置き換える
何十年もの間、米ドルは世界の基軸通貨として機能してきたが、それももう長くは続かないだろう。その主な理由は、アメリカが自国の通貨を武器として活用し、反対する人々を検閲することへの懸念が高まっているからだ。
加えて、アメリカが抱える巨額の債務も、ドルの立場を助けるものではない。米国は34兆ドル(約5032兆円、1ドル148円換算)以上の負債、2兆ドルの赤字を抱え、爆発的に増える利払いは今や年間1兆ドルにものぼる。
これは持続可能ではない。現在の購買力のドルで債務を清算することは不可能だ。言い換えれば、アメリカが債務不履行に陥るか、インフレで未払いの負債の実質的な価値が目減りするかのどちらかだ。
ニクソン大統領は1971年、金本位制からの離脱を宣言した。フランスのシャルル・ド・ゴール大統領が、アメリカがフランスに支払うべき金を回収するために船を送ったからだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)と政策立案者たちは2021年と2022年、インフレは一過性のものだと主張したが、インフレ率は約2%という目標の5倍まで爆発的に高まった。FRBと政策決定者たちは、膨大な債務を抱えながら通貨価値を守ることがもたらす結果を知っており、代わりに、購買力を時間とともに低下させ、債務の実質的価値を減らそうとしている。
その結果、ドルを保有する魅力はますますなくなり、投資家は代替手段を探している。その代替手段の中で、ビットコインはますます多くの投資家にとって魅力的に見え始めている。
私の計画は、今、買うことだ。万一、流行ったときのために。
|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:André François McKenzie/ Unsplash
|原文:My Long-Term Investment Case for Bitcoin