ビットコイン(BTC)の売り圧力はグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)で利益を得ている投資家によるもので、その大部分はもう終わったと見られるとJPモルガン(JPMorgan)は1月25日の調査報告書で述べた。
同行は、ビットコインのスポット上場投資信託(ETF)がアメリカでローンチされた後の2週間でビットコインが20%以上下落したと指摘し、割安で購入した投資家によるGBTCの利益確定売りが調整の主な要因だと述べた。
ETFに転換する前のGBTCは、アメリカの投資家にとって、原資産である暗号資産を所有せずにビットコインへのエクスポージャーを得る数少ない方法の一つだった。現在も運用資産200億ドル(約3兆円、1ドル=150円換算)超の最大のビットコイン投資商品だ。
JPモルガンは以前、推定純資産価格(NAV)からのディスカウント取引による利益確定のため、GBTCから約30億ドル(約4500億円)の資金流出があると見積もっていた。投資家がこの取引で利益を得ると、暗号資産市場から資金が流出し、ビットコイン価格に下落圧力がかかるため、これらのフローは重要だ。
ニコラス・パニギスツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストは「GBTCからすでに43億ドル(約6450億円)が流出していることから、GBTCの利益確定はすでにほぼ終わった」と述べている。「ビットコインの下落圧力のほとんどは、それが原因だった」。
同行の推計では、約13億ドル(約1950億円)がGBTCから割安な新たに設定されたスポットビットコインETFに移動したことになる。これは毎月30億ドルの流出に相当する。グレイスケールの手数料引き下げが進まない場合、こうした流出が続く可能性は高く、他のスポットETFが「規模や流動性の面でGBTCと競合し始めるクリティカルマスに達した場合、さらに加速する可能性がある」と報告書は付け加えた。
米CoinDeskが報じたように、暗号資産取引所FTXの破産管財人は、ETFへの転換以来、GBTCの約10億ドル(約1500億円)相当を放出し、その結果、BTCに売り圧力が加わった。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Grayscale’s GBTC Profit Taking Likely Over, Easing Bitcoin Selling Pressure: JPMorgan