アメリカの地方銀行株の急落でアメリカの貸し手の健全性と昨年3月の銀行危機の再発に対する懸念が再燃する中、2月1日のビットコイン(BTC)は4万3000ドル(約623万5000円、1ドル145円換算)付近で安定した。
商業用不動産ローンと減配を理由とする損失を報告したことを受けて、ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の株価は1月30日以来で40%以上下落し、昨年3月と同水準の安値に達した。このセクターのベンチマークであるKBWナスダック地方銀行インデックス(KBR)は、1月31日に1日としては3月以来最大の下落を記録していたが、2月1日にもさらに2%下落した。
FRBの声明も影響か
市場関係者らはまた、米連邦準備制度理事会(FRB)が金利決定に関する1月31日の声明で、過去の声明にはあったアメリカの銀行システムの回復力に言及した重要な文言を削除したことの重要性についても検討している。融資プラットフォームのメープル・ファイナンス(Maple Finance)で資本市場・成長部門責任者を務めるクイン・トンプソン(Quinn Thompson)氏はX(旧Twitter)で、「昨日、『アメリカの銀行システムは健全で回復力がある』の削除が最も重要な方針になるとは誰が予想しただろうか」と投稿。従来の安全資産である金がアメリカの銀行株と比べて上昇していると指摘した。
特に昨年3月の「銀行危機」の際、ビットコインは一時的に下落した後、2万ドルから3万ドル近くまで急騰。銀行システムの危機との相関性のない「安全な避難所」の資産として認識され始めた。
ビットコインの値動きは小さい
今回、ビットコインの価格動向はこれまでのところ抑制されている。2月1日には4万2000ドルを下回る水準からわずかに上昇し、4万4000ドルが上値となるこれまでのチャネルで値固めをした。
本記事執筆時点では、ビットコインは4万3000ドルをやや下回る水準で推移し、過去24時間で1%上昇している。時価総額の大きい暗号資産20種類のパフォーマンスを示すCoinDesk 20は同じ期間に1.5%上昇した。
アナリストでニュースレター「Crypto Is Macro Now」の著者であるノエル・アチソン(Noelle Acheson)氏は2月1日、「昨日のビットコインの『リスクオフ』の動きの理由が何であれ、これはビットコイン市場の魅力的だが混乱を招く二重性を浮き彫りにしている。ある時にはマクロリスク資産となり、またある時にはマクロリスクに対するヘッジとなる」と述べた。
メープル・ファイナンスのトンプソン氏は、ビットコインの反応の遅れには驚いたが、「慎重にロング」していると語った。
著名なデジタル資産・ベンチャーキャピタル投資家のダン・タピエロ(Dan Tapiero)氏はXに、「伝統的な『価値の保存』はゆっくりと衰退しつつある。商業用不動産とアメリカの地方銀行は常に富を保存するための安全資産と考えられていた」と投稿。「代替手段はほとんどなかった・・・金、アート、株式、債券など。ビットコインは、テクノロジーが可能にした新しい世界的な価値の保存になるだろう」とコメントした。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Steady at $43K as Tumbling U.S. Regional Bank Stocks Reignite Worries