ジュピターのJUP、その斬新な配布方法で怒りを買う

ジュピター(Jupiter)のネイティブトークン「JUP」は、ソラナエコシステム内のユーザーに7億ドル(約1015億円、1ドル=145円換算)ものエアドロップが行われた。その斬新な配布メカニズムに懸念の声が上がったものの、数日後には数十億ドルの取引高を記録し、数千人の保有者を集めた。

2月2日時点でトークンは60セント前後で取引されており、データによると時価総額は8億ドル(約1160億円)強となっている。ジュピターは分散型取引アグリゲーターで、注文を他の複数のソラナベースの取引所にルーティングし、注文に対して利用可能な最良の価格を執行する。

1月31日、ジュピターはプラットフォーム上での活動に基づいてユーザーにJUPをエアドロップして報酬を与えた。また、エアドロップを受け取った人が新しく鋳造されたトークンを売却できるように、取引プールを提供した。

技術文書によると、ジュピターは取引プールにより、特定の価格帯でトークンを提供することができる。価格は市場の力とプラットフォームが時間の経過とともにどれだけの流動性を得るかによって左右されるという。

しかし、この戦術はエアドロップではなくイニシャルDEXオファリング(IDO)であると、一部の暗号資産(仮想通貨)市場オブザーバーの怒りを買うことになった。 エアドロップではプラットフォームはユーザーにトークンを与えることでユーザーに報酬を与えるが、IDOでは開発者チームが保有トークンを市場参加者に販売する。

ジュピターのトレーディングプール戦略は、公正な市場プールを装ったIDOだと批判されており、一部のオブザーバーは、開発者チームが市場プールを通じて2億ドル(約290億円)以上相当のJUPを販売したと主張している。

Birdeyeの価格データによると、騒動の影響で2月1日には価格が56セントまで下落した。

しかし、これらの主張のほとんどは、ジュピターの匿名の創設者であるmeow(@weremeow)氏によって「明らかに虚偽」として却下されており、彼はXへの複数の投稿で、販売のメカニズムは誤って描写されていると述べた。

その後、ジュピターが発行から7日後に流動性供給を停止する可能性があるとの噂が広まり、一部では 「ラグプル」だと言われた。しかし、この噂はすぐに打ち消された。

「ローンチプールは、エアドロップや買い手の後悔による売り圧力を吸収するために7日間存在する。十分な期間であると私は信じている」とmeow氏は2月1日に述べた。「逆に言えば、新規の買い手は売り圧力に対してバッファがあることを知っている」。

プール内のすべてのトークンは、チームの金庫に残るか、将来的にさらなる流動性の提供に使用されると、彼は別のX投稿で述べた。「この売却自体が、ジュピターのLFGローンチパッドのテストベッドとして機能した。このプラットフォームは、将来的にプロジェクトがソラナユーザーにトークンを発行できるようにする予定だ」とmeow氏は述べた。

一方、ソラナコミュニティは、このトークンセールのプロセスやデザインに対して支持を表明しており、2つの重要な利点として、透明性ベンチャーキャピタルがトークンを保有しないことを挙げている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Jupiter’s JUP Rallies On With Solana Supporters Leading the Charge