- 好調な経済指標を背景にアメリカの金利が急上昇し、パウエルFRB議長のタカ派発言が重しとなったため、暗号資産市場は5日に下落。ビットコインは4万2000ドルに近づいた。
- マーカス・ティーレン氏は、有利なマクロ環境の恩恵を受けて、ビットコインは年末までに7万ドルまで上昇する可能性があると述べた。
アメリカの金利上昇が続いたことを受け、5日の暗号資産(仮想通貨)市場は下落した。好調な経済指標や米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長が先週からタカ派の発言を繰り返したことが背景にある。
ほとんどの暗号資産が下落
5日のビットコイン(BTC)は、4万3400ドルの高値を記録した後、4万2200ドル(約633万円、1ドル150円換算)まで下落した。本記事執筆時点では過去24時間で1.2%低下している。
この日はほぼすべての暗号資産で同程度かそれ以上の下落が発生している。暗号資産市場全体のパフォーマンスを示すCoinDesk 20も1.3%下落しており、この指数を構成する20種類の暗号資産のうち18種類が下落した。チェーンリンク(LINK)は2%ほど上昇し、構成銘柄の中で値上がり幅が最も大きかった。
パウエル発言や経済指標で利回り上昇
暗号資産価格の下落は、米10年債利回りが5日に14ベーシスポイント上昇し、直近2日での上昇幅が30ベーシスポイントまで拡大したことで起きたものだ。
パウエル議長が4日夜にニュース番組に出演し、市場が事前に予想していた通りにFRBが3月に利下げするつもりはほとんどないことを確認したことが利回り上昇に拍車をかけた。
大幅に予想を上回った2日の雇用統計に続き、5日にはさらに底堅さを示す経済指標が発表された。1月の米ISM非製造業景況指数は12月の50.5に対して53.4まで上昇し、予想を上回った。
アメリカの主要株価指数であるS&P500とハイテク株中心のナスダック100はいずれも小幅な下落で取引を終えた。
ビットコインは年末までに7万ドルに
今回の下落にもかかわらず、ビットコインは依然として4万2000ドル以上を維持しており、買い手が介入する価格の重要なサポートラインとなっている。しかし、暗号資産市場に新鮮な投資のナラティブが不足しているため、現在リスク選好度は低いとスイスブロック(SwissBlock)のアナリストらが5日のレポートで述べた。
レポートでは、「ビットコインETFなどの暗号資産市場固有の上昇要因はすでに使い切られており、プレーヤーは次の重要なシグナルを待っている」と指摘されている。
10x Researchのアナリストで、暗号資産サービスプロバイダーのマトリックスポート(Matrixport)のリサーチ責任者でもあるマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、より長いスパンで見るとビットコインは2024年末までに7万ドルにまで上昇するとみている。これは現在の価格より約65%高い水準だ。
ティレーン氏は2日、「マクロ環境、金融の追い風、アメリカの選挙サイクル、そしてビットコインETFに資金を振り向ける伝統的金融(TradFi)の投資家からの需要が徐々に増加することに支えられ、ビットコインが7万ドルに上昇する可能性は高い」と指摘した。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Slips Towards $42K as Interest Rates Soar; Chainlink’s LINK Defies Crypto Slump