- GBTCからの流出はSECの承認から4週間が経過して減速している。
- それでも、GBTCが手数料を引き下げなければ新たに発売されたビットコイン現物ETFに負けて多くの資金を失う可能性が高い。
- ブラックロックとフィデリティのETFは、市場の幅に関連する特定の流動性指標でグレイスケールよりも優れている。
JPモルガン(JPMorgan)は7日の調査レポートで、世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)とフィデリティ(Fidelity)のビットコイン現物ETF(上場投資信託)は、市場の幅に関連する特定の流動性指標ですでにグレイスケール(Grayscale)よりも優れているという証拠があると述べた。
GBTCは手数料の高さで「負ける」
グレイスケールのGBTCからの資金流出は米証券取引委員会(SEC)の承認から4週間が経過して鈍化したものの、意味のある手数料引き下げがなければ、新たに発売されたETF、特にブラックロックとフィデリティのETFに負けると見込まれるとレポートでは指摘された。
グレイスケールの手数料はビットコイン現物ETF発行企業の中で最も高い。クローズエンド型のファンドからビットコイン現物ETFに転換した際に管理手数料を2%から1.5%に引き下げたが、依然として競合商品よりもはるかに高い水準だ。
ブラックロックとフィデリティは流動性指標で優位
ニコラオス・パニギルツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストらは、「手数料以外の理由は、ブラックロックとフィデリティのETFがすでに2つの流動性指標でGBTCに対して優位性を発揮していることだ」と指摘した。
1つ目は、JPモルガンが市場の幅の代用にしている、フイ・フーベル比率に基づくものだ。GBTCの値はブラックロックやフィデリティのETFの約4倍であり、「GBTCよりもはるかに広い市場の幅を示す」ことを示唆しているという。
2番目の指標は純資産価値からのETF終値の「平均絶対偏差」に基づくものだ。
先週のこの指標からは、「フィデリティとブラックロックのビットコイン現物ETFの純資産価値からのETF価格の乖離がGLDゴールドETFのそれに近づいており、流動性の大幅な改善を示唆している一方、GBTCのETFの乖離は依然として高いままであり、流動性の低下を示唆している」ことが読み取れるという。
グレイスケールはレポートの結論に同意しなかった。グレイスケールのETF担当副社長のルイス・シュー(Louis Hsu)氏は、「ETFの流動性を確認するために最も広く使われているドル建てでの取引高を調べてみると、ビットコイン現物ETFとして発売されて以来、GBTCが流動性の市場リーダーであり続けていることは明らかだ」と反論した。
|翻訳・編集:林理南
|画像:roegger/Pixabay
|原文:BlackRock, Fidelity Bitcoin ETFs Have a Liquidity Edge Over Grayscale: JPMorgan