- 1月の消費者物価指数がアナリスト予想を上回る前年同月比3.1%だったため、ビットコインは4万8800ドルまで下落した。
- CME FedWatchツールによると、5月に利下げが行われる確率は52%から34%に低下した。
- オアンダのクレイグ・アーラム氏は、「ひどい」インフレは短期的には悪影響を及ぼしたが、暗号資産市場の「ムードを弱める」ことはないと述べた。
暗号資産市場と関連株が下落
13日にアメリカのインフレ率が予想を上回ったことが利下げ期待の重しとなり、ビットコイン(BTC)は4万9000ドル(約735万円、1ドル150円換算)を下回った。
ビットコインは13日初めの5万ドル強の水準から約2%下落して4万8700ドルとなり、暗号資産(仮想通貨)市場全体のパフォーマンスを示すCoinDesk 20は2.4%下落した。
この日後半に暗号資産市場は下落分の一部を取り戻し、ビットコインは4万9100ドルまで回復したが、CoinDesk 20構成銘柄のほとんどは依然として過去24時間で2~3%下落した水準だった。ソラナ(SOL)は持ちこたえ、同じ期間に1%以上上昇したが、ビットコインは1.5%の下落だった。
アメリカで上場している暗号資産関連株は市場開始時に急落したが、午後には下落分の一部を回復した。米暗号資産取引大手コインベース(Coinbase)とマイクロストラテジー(MicroStrategy)の株価は12日の終値から約3%下落。大手ビットコインマイニング企業のマラソン(Marathon)とライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)はそれぞれ5%、2%下落した。
予想を上回る1月CPIで利下げ確率が低下
今回の下落は、1月の消費者物価指数(CPI)が前年比3.1%となり、アナリスト予想の2.9%を上回ったことを受けたものだ。CME FedWatchツールによると、市場参加者は現在、米連邦準備制度理事会(FRB)が5月に利下げする可能性は34%にとどまるとみており、前日の52%から低下した。
差し迫った利下げの可能性が低下したことは伝統的な市場にとっても重しとなった。米10年債利回りは12ベーシスポイント上昇し、S&P500とハイテク株の多いナスダック総合指数は2%も下落した。
オアンダ(Oanda)のシニアアナリストであるクレイグ・アーラム(Craig Erlam)氏は13日のメモで、「これは連邦準備制度が望んでいたインフレ報告ではなく、市場もそれに応じた反応を示している」とコメントした。
アーラム氏は、トレーダーらが現在織り込んでいる2024年の利下げはわずか3回(75ベーシスポイント)のみで、先月に記録した175ベーシスポイントからは大幅に低下しているが、これはインフレに関する懸念が過度に悲観的になっている可能性があることを示唆していると指摘した。
アーラム氏は、「先月は市場があまりにも楽観的すぎるように見えたが、振り子が今は逆の方向に大きく傾きすぎているのではないかと思う」とし、「インフレに関しては依然として大幅な進展が見られており、今後数カ月でさらなる進展が見られると私は予想している」と語った。
アーラム氏は、「ひどい」インフレ指標はビットコインにとっては不運な時期に発生しており、12日に2021年12月以来初めて5万ドルの水準を突破したまさにその瞬間にビットコインの上昇を「ラグプル(はしごを外すこと)した」と指摘。「短期的にはダメージはあるものの、暗号資産業界のムードをそれほど弱めることはないと思う」との見方を示した。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Drops 2% on Hotter-Than-Expected U.S. Inflation