ステーブルコインの時価総額が1400億ドルを突破──USDコインの復活とテザーの伸びで2022年以来最高に
  • ステーブルコイン市場の時価総額は、2022年下旬以来で初めて約1400億ドルまで上昇した。
  • サークル社のUSDコインは先月に時価総額を25億ドル以上増やし、同期間のテザーの伸びを上回った。

新たな資金がデジタル資産市場に流入し続ける中、今年はステーブルコイン市場の拡大が加速しており、これによって暗号資産(仮想通貨)の上昇も加速している。

CoinMarketCapのデータによると、ステーブルコイン市場の時価総額は2月に1400億ドル(約21兆円、1ドル150円換算)を超えた。DefiLlamaのデータによると、これは2022年12月以来の最高水準だ。

ステーブルコインは現金をトークン化したもので、伝統的な法定通貨とブロックチェーンベースの市場の橋渡しをし、市場参加者に取引やレンディングの流動性を提供する。そのためステーブルコインはデジタル資産市場にとって重要な役割を果たしており、時価総額の拡大は暗号市場全体にとって重要なマイルストーンとなる。

K33 Researchのアナリストであるヴェトル・ルンデ(Vetle Lunde)氏は23日金曜日の市場レポートで、「ステーブルコインの供給量の変化は、暗号資産エコシステムに資金が流入するか流出するかを測る温度計となる」と述べた。

ステーブルコイン市場は11月初旬に急速に拡大し始め、18カ月に及ぶ過酷な下落トレンドに終止符を打った。それ以来、時価総額は12%、つまり約150億ドル(約2兆2500億円)拡大しており、そのうち約100億ドルは今年になってから増加したとルンデ氏は指摘した。

USDコインの復活

CoinGeckoのデータによると、時価総額第1位のステーブルコインであるテザー(USDT)は、過去1カ月で約20億ドル増加し、過去最高となる980億ドル(約14兆7000億円)まで伸びを加速させた。

昨年末のステーブルコインの伸びは主にテザーが牽引したが、今年の伸びはより広範に発生している。

CoinGeckoによると、サークル(Circle)社が発行、米暗号資産取引大手コインベース(Coinbase)が支援する時価総額第2位のステーブルコインであるUSDコイン(USDC)が復活を遂げ、年初以来240億ドルから285億ドル(約4兆2750億円)を超えるまでに成長した。過去1カ月間で25億ドル近く増加しており、同期間のテザーの伸びを上回った。

アナグラム(Anagram)のリサーチパートナーであるデビッド・シャトルワース(David Shuttleworth)氏はX(旧Twitter)で、USDコインの供給量が過去1カ月で10%近く増加し、ステーブルコインの増加量全体の半分以上を占めていると指摘。「より多くの流動性とより多くのユーザーが着実にこの分野に参入しており、USDコインは徐々に市場シェアを取り戻している」と述べた。

USDコイン復活の材料の一つは、今年のビットコイン(BTC)の上昇がアメリカの投資家の強い需要によって牽引されたことかもしれない。アメリカのトレーダーの間ではUSDコインの方が人気がある。一方、バイナンス(Binance)などのオフショア取引所のアジア、アフリカ、ラテンアメリカのトレーダーの間ではテザーが優勢だ。

また、この伸びが生じた時期には、バイナンスが昨年末にいくつかのUSDコイン取引ペアを再上場させており、アメリカでビットコイン現物ETF(上場投資信託)が発売されているとコインベースが26日の市場レポートで指摘した。ETFの多くがビットコインの決済にコインベースを利用しているという。

中央集権型暗号資産取引所の取引高におけるUSDコインの市場シェア(Coinbase)

このレポートは、USDコインがアメリカの市場の外で(まだ中程度ではあるものの)存在感を高めており、世界の中央集権型取引所におけるデリバティブ取引・現物取引の決済における市場シェアは2023年半ばの1%未満から4%近くまで上昇していると指摘した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:K33 Research
|原文:Stablecoin Market Cap Hits $140B, Highest Since 2022 Amid USDC Resurgence, Tether Growth