イーサリアムの上昇がビットコインを上回る理由はETF承認の可能性だけではない:バーンスタイン
  • イーサリアムのパフォーマンスは年初来、ライバルのビットコインを上回っている。
  • バーンスタインは、イーサリアムの最近の上昇には5つの材料が寄与していると考えている。
  • 分散型金融での活動増加は、イーサリアムネットワークにとって追い風となっている。

イーサリアム(ETH)は年初から33%上昇し、ライバルであるビットコイン(BTC)のパフォーマンスを上回った。投資会社のバーンスタイン(Bernstein)は26日の調査レポートで、この上昇は現物ETF(上場投資信託)承認の可能性以外の材料によって牽引されているとの見方を示した。

イーサリアムのデフレ傾向

第一にイーサリアムの供給はデフレであり、2022年9月にイーサリアムブロックチェーンがコンセンサス形式をプルーフ・オブ・ステーキング(PoS)に移行させて以来供給量は増加していないとレポートは指摘し、この事実は過小評価されていると述べた。

ロックされたイーサリアムの増加

ロックされたイーサリアムの量も重要な要素だ。バーンスタインは、取引所で保有されているイーサリアムが11%という史上最低の水準にあり、これはロックされるイーサリアムが増えている兆候だと指摘した。イーサリアムはステーキングプール、分散型金融(DeFi)のスマートコントラクト、レイヤー2でロックされている。

アナリストのガウタム・チャッガニ(Gautam Chhugani)氏とマヒカ・サプラ(Mahika Sapra)氏は、「ブロックチェーン活動の活発化(DeFi、NFT、トークンの増加)に基づくイーサリアムのトランザクション(取引)手数料の増加が、ステーキングするイーサリアム保有者が増えるインセンティブになっている」と説明した。

また、「イーサリアムのレイヤー2ネットワーク上の金融スマートコントラクト(アービトラム、オプティミズム、ポリゴン)が拡大するにつれて、より多くのイーサリアムがスマートコントラクトにロックされ、需要増加の相互フィードバックループにつながる」と述べた。

アイゲンレイヤーの再ステーキング

イーサリアムの再ステーキングに使用されるプロトコルであるアイゲン(Eigen)レイヤーも、ステーキング需要が高まっている要因だとされている。レポートでは、「イーサリアムを(再)ステーキングをする人はアイゲンで始まった新しいトークン/サービスから利益を得ている」と指摘された。

レイヤー2ネットワーク

2023年に入ってから、分散型金融(DeFi)が復活する中で、新しいレイヤー2ネットワークがイーサリアムネットワークにスケーラビリティと手数料の低下をもたらしたとバーンスタインは述べた。

トークン規制がさらに明確化されることで、「DeFiトークンなどのアプリケーショントークンによって、トークンをステーキングした人との収益シェアが可能になる可能性がある」と指摘。「健全なDeFiエコシステムが活動量とイーサリアムネットワークの手数料の増加を牽引し続け」、それによってイーサリアムにより多くの価値が蓄積されるだろうとの見方を示した。

ガバナンストークンであるユニスワップ(UNI)の60%上昇をもたらしたユニスワップ(Uniswap)の手数料切り替え提案は、「トークンの経済設計」がいかに改善され得るかを示す例の一つに挙げられている。

デンクンアップグレード

最後の主な材料は、今年3月に計画されているイーサリアムブロックチェーンのデンクン(Dencun)アップグレードだ。アップグレードを受けて、「イーサリアムのコントリビューター(貢献者)は、イーサリアムのレイヤー2のトランザクションコストがさらに90%削減され、レイヤー2ネットワークの収益性が向上することを期待している」とレポートは指摘した。アップグレードにより、メインネットの混雑が軽減され、エコシステムに流入するトランザクション量の増加を牽引するとされている。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Ether’s Bitcoin Beating Rally Not Just Because of Potential ETF Approval: Bernstein