ビットコインの資金調達率が100%に急上昇──裁定取引のチャンスが到来
  • ビットコインの資金調達率の急上昇は、レバレッジが強気側に偏っていることを示唆している。
  • あるオブザーバーは、資金調達率の上昇は暗号資産ヘッジファンドに極めて魅力的な裁定取引の機会を提供すると述べた。

突っ走るビットコイン(BTC)の列車を止めることはできないようだ。そのため、永久先物でレバレッジを効かせた強気ベットを保有するコストが急上昇し、魅力的な裁定取引の機会が生まれている。

CoinDeskのデータによると、2月27日にビットコインは2021年後半以来の高値となる5万7000ドルまで上昇し、年初来の上昇率は32%に達した。広範な市場指標であるCoinDesk20指数(CD20)は6%近く上昇した。

データソースのVelo DataとCoinGlassによると、バイナンスに上場されているビットコイン永久先物の年率換算資金調達率(ファンディングレート)は1年ぶりに100%を超えた。バイビット(Bybit)とデリビット(Deribit)の資金調達率はそれぞれ95%と56%に上昇した。

永久つまり期限のない先物は、価格をスポット価格と同調させるために資金調達率を使用する。プラスの資金調達率は、永久先物がスポット価格よりプレミアムで取引されていることを示し、ロングつまり買いポジションを保有するトレーダーは、ショートポジションを保有するトレーダーに手数料を支払う必要がある。取引所は8時間ごとにこの手数料を徴収する。

言い換えれば、資金調達率がプラスで上昇しているということは、市場が強気ムードであるか、レバレッジが強気に偏っていることを示している。

10X Researchの創設者であるマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、資金調達率の上昇は、アメリカのスポット上場投資信託(ETF)への継続的な資金流入を見越して、トレーダーが強気の賭けをしたことに起因している可能性が高いと述べた。

ビットコインの5万7000ドルへの上昇を予測したティーレン氏は、「建玉は増加を続け、現在144億ドル(約2兆1600億円、1ドル=150円換算)に達している」と述べた。「トレーダーは、半減とETFへの流入が強気につながると確信を深めている」。

ビットコインの年率換算永久資金調達率。(Velo Data)

資金調達率の急上昇は、ノンディレクショナルトレーダーや裁定取引(アービトラージ)業者が魅力的なリターンを得られることを意味するとティーレン氏は付け加えた。

アービトラージとは、2つの市場間の価格差から利益を得ることだ。資金調達率の上昇は、永久先物がスポット価格に対してかなりのプレミアムで取引されていることを意味する。したがって、アービトラージをする者は、永久先物をショートし、スポット市場で暗号資産(仮想通貨)を購入して価格変動リスクを回避しながらプレミアムをポケットに入れることができる。

「永久先物の調達率の上昇は、暗号資産ヘッジファンドに極めて大きな裁定スプレッドを提供している。ビットコインとイーサリアム(ETH)は20%、30%、あるいはそれ以上の水準で取引されており、アービトラムのスイートスポットとなっている。この市場では、完全なロングをする人も、パープ・スプレッドをする人も、誰もが勝つことができる。暗号資産に携わるには素晴らしい瞬間だ」とティーレン氏はCoinDeskに述べた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Velo Data
|原文:Bitcoin Funding Rates Jump to 100%, Sparking Opportunity for Savvy Traders