ベネズエラ大統領は、継続中の公営住宅プロジェクトの資金調達に、独自の仮想通貨「ペトロ(petro)」の使用を命じた。
2019年9月19日(現地時間)、ベネズエラ政府がウェブサイトで行った発表によると同国「住宅供給ミッション(Great Housing Mission Venezuela)」に基づく新規住宅建設には、石油に裏付けされたペトロトークンを使用するようニコラス・マドゥロ大統領が義務付けた。このプロジェクトは、2011年にウゴ・チャベス前大統領が始めたものである。
このニュースはベネズエラのイルデマノ・ビジャロエル(Ildemaro Villarroel)住宅相によって発表された。
ペトロの使用により、個人投資家が株式市場を通じて公営住宅の建設に投資することが可能になると、住宅相は述べた。キューバの国営通信社によると、同氏はさらに、ペトロによる支払いスキームの対象として4000戸が予定されており、すでに4740戸が建設中だと述べている。
同国の仮想通貨イニシアチブ監督者であるホセリート・ラミレス(Joselit Ramírez)氏は、ペトロを、経済制裁と戦う中で大統領が考案した「優れたアイディア」だと評価した。
独自の仮想通貨ペトロに「アドバンテージ」を見るマドゥロ大統領
今回の動きは、マドゥロ大統領が再び、この物議を醸す仮想通貨をベネズエラ経済に無理やり押し込もうとしているように映る。
大統領は以前にも、国内最大手の銀行を使って国民がペトロを入手できるようにと命じ、この通貨へのアクセスが限定的であったにもかかわらず、年金の支払いをペトロで行うことを強制した。
また外国に対しては、石油市場や貿易において米ドルの代わりにペトロを受け入れるよう、説得を試みていた。
ペトロが国際的な制裁に対する回避手段として公に述べられたことを受け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領はペトロがローンチされた直後の3月、この仮想通貨を制裁対象としている。
翻訳:Emi Nishida
編集:T.Minamoto
写真:Nicolas Maduro image via the Venezuelan government
原文:Venezuela’s Maduro Mandates Petro Use in Funding of Social Housing Project