コインチェックとFanplaは3月4日、IEOに向けた契約を締結したと発表した。IEOの実施時期、発行総額やIEOによる調達額など、詳細は未定。
IEO（Initial Exchange Offering）は、暗号資産（仮想通貨）を使った資金調達手法で、企業、プロジェクトなどの発行体が新たに発行する暗号資産を暗号資産取引所が審査。事業の継続性、運営の安全性などを確認したうえで、その販売・流通を支援する。
今回のIEOは、東証プライム上場企業エムアップホールディングスの100％子会社で、UVERworld、サカナクション、THE YELLOW MONKEYなどの人気アーティストをはじめ、300以上のファンクラブを運営するFanplusが、Fanplaに発行・販売を委託して進める。Fanplusが運営する300以上のファンクラブやファンサイト、250万人を超える有料会員を主なターゲットにトークンの発行を目指すという。発行体のチームには、Web3領域に特化したファンド運営を通じて、Web3の事業創造を手がけるEmooteが参画する。
すでに既存ビジネスで確固たる実績と基盤を有する企業がIEOを目指すケースは初めてと言える。ファンクラブの上にどのようなトークノミクスを実現し、既存ビジネスをWeb3ビジネスへと進化させるのか。ファンにどのような新しい体験を提供するのか。IEOの活性化、さらにはWeb3マスアダプションに向けて注目の案件だ。
リリースによると、Fanplusは「フィーチャーフォンの頃よりファンクラブサービスを開始し、チケット販売、電子チケット、チケットトレード、グッズEC、アーティストアプリ、生配信アプリ、NFTマーケット」などに取り組んできた。
「ファンやアーティストのみなさまに一層楽しんで頂くことはもちろんですが、これから生まれてくる未来のアーティストや未来のファンのみなさまのためにも、日本の音楽業界の熱量をもっと高め、貢献できるサービスの提供に尽力いたします」とFanplus代表取締役の佐藤元氏はリリースに記している。
同じくリリースで、Emoote代表取締役の熊谷祐二氏は「ファンクラブビジネス、音楽業界をリードし続けるFanplus社並びにFanpla社のプロジェクトは、まさにエンタメ×Web3のど真ん中で”マスアダプション”を目指すプロジェクトです」、コインチェック副社長執行役員の井坂友之氏は「オーディション時代から応援していたアーティストと共にステージを駆け上がるようにファンとアーティストの共創の熱量を高めていければと思います」と述べている。
日本ではこれまで、5例のIEOが実施され、うち2件はコインチェックが手がけた。今回の契約締結により、準備中のものも含めて同社としては4例目のIEOを実施することになる。
｜文：CoinDesk JAPAN編集部
｜画像：リリースより
