ミームコインの熱狂でイーサリアムネットワークの手数料が約2年ぶりの高水準:IntoTheBlock

IntoTheBlockは8日の市場レポートで、ミームコインの投機的熱狂がブロックチェーン活動を加速させたため、今週イーサリアムネットワークの収益が約2年ぶりの高水準に急増したと指摘した。

ネットワーク収益が2022年5月以来で最高

IntoTheBlockのデータによると、今週イーサリアムのメインネットのネットワーク料金からの収益は1億9300万ドル(約289億5000万円、1ドル150円換算)に達し、2022年5月以来の最高額となった。先週からは78%増加している。

IntoTheBlockのアナリストらによると、オンチェーン活動は主にミームコインを使った投機の増加に牽引されたという。ペペコイン(PEPE)、柴犬コイン(SHIB)、フロキ(FLOKI)などのイーサリアムベースのミームコインの価格は過去1週間で2倍以上に上昇した。

一方、DefiLlamaのデータによると、イーサリアムネットワーク上に構築された分散型取引所(DEX)の取引高は今週40%増加して200億ドル(約3兆円)となった。

PoS移行でデフレに

トークンをバーン(燃焼)する仕組みがあるおかげで、この熱狂によってネイティブトークンであるイーサリアム(ETH)を保有する投資家に利益がもたらされている。イーサリアムブロックチェーンがプルーフ・オブ・ステーキング(PoS)に移行したことで、ユーザーが支払ったトランザクション(取引)手数料の一部が破棄され、トークンの供給量が減少する仕組みに変わった。

Ultrasound.moneyのデータによると、過去1週間でイーサリアムの供給量は約3万3400ETH(現在価格で約1億3000万ドル相当)減少し、年率1.45%でデフレの状態にある。

一方で、活動の活発化によってイーサリアムブロックチェーンはユーザーにとって非常に費用のかかるものになっている。イーサリアムブロックチェーンの平均トランザクションコスト(ガス代)は今週28ドルまで上昇し、多くのユーザーにとって「利用できない」ものになったとIntoTheBlockは指摘した。

レイヤー2の手数料も高騰

イーサリアムネットワークのスケーリングを目的としたレイヤー2の手数料も高騰。アービトラム(Arbitrum)でのトランザクションコストは1ドルにもなり、2022年以来で最高となったとレポートは指摘している。ただし、この問題は来週予定されているデンクン(Dencun)のアップグレードで簡単に修正され、レイヤー2のトランザクションコストが1ドル未満まで削減されることが期待されている。

イーサリアムは8日、2021年末以来初めて一時4000ドル(約60万円)を突破したが、その後ビットコイン(BTC)とともに4%以上下落した。イーサリアムは今週15%上昇しており、取引高上位の暗号資産のパフォーマンスを示すCoinDesk 20(CD20)の上昇に合わせて本記事執筆時点では約3900ドルで推移している。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Christal Yuen/Unsplash
|原文:Meme Coin Frenzy Drives Ethereum Network Fees to Nearly 2-Year High: IntoTheBlock