フェイスブックは仮想通貨「リブラ(Libra)」を裏付ける通貨バスケットのパーセンテージを明らかにした。
バスケットの50%が米ドルになることはすでに伝えられていたが、ドイツのニュース週刊誌「デア・シュピーゲル(Der Spiegel )」は9月20日(現地時間)、残りはユーロが18%、円が14%、ポンドが11%、シンガポールドルが7%になると伝えた。
バスケットに世界第2位の経済大国である中国の法定通貨「人民元」は含まれない。ロイターは、バスケットに人民元を含まないことは、米中間の貿易戦争の高まりを考慮すると、アメリカでのリブラの計画にプラスになる可能性があると指摘した。
デア・シュピーゲルは、フェイスブックはドイツ連邦議員でヨーロッパ議会の元議員、ファビオ・デ・マシ(Fabio De Masi)氏への書簡でバスケットの具体的な割合を明らかにしたと伝えた。
デア・シュピーゲルは同議員を、リブラは民主主義、自由、そして金融の安定の脅威であると考える「左翼」政治家と紹介している。同議員は特にリブラが銀行預金保険の適用を受けず、そしてリブラのスポンサー企業はリブラの使用状況から得られた情報を利用する可能性があることを懸念しているとデア・シュピーゲルは伝えた。
リブラは、グローバル決済を実現するステーブルコインとして通貨バスケットに裏付けられるよう設計され、フェイスブックが主導する「リブラ協会」がコントロールする。協会にはビザ(Visa)、ウーバー(Uber)、ペイパル(PayPal)などが加わっている。リブラは6月にフェイスブックがその計画を発表して以来、議論の的となっている。
アメリカの議員と規制当局は、リブラへの懸念を高め、フランス財務相はリブラをブロックする計画を発表してさえいる。
欧州中央銀行の理事も最近のレポートでリブラの脅威を警告した。レポートでは、経済主権および金融政策のコントロールの喪失の可能性に対する懸念の他に、さまざまなリスクがあげられた。
中国はリブラを直接的な脅威と見ており、リブラに対抗するために独自のデジタル通貨「CBDC(central bank digital currency)」を開発している。だが、中国人民銀行(People’s Bank of China:PBoC)が提案した仕組みは、仮想通貨というよりも、決済システムに近い。
大きな議論を呼んでいるために、リブラ協会からの脱退を検討しているメンバー企業もあるとされているが、ほとんどのメンバー企業はこのまま加盟を続けると述べている。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:David Marcus image via House Financial Services Committee
原文:Facebook Reveals Libra Crypto’s Currency Basket Breakdown: Report