- ビットコインは史上最高値から急落してもすぐに買われたが、アルトコインの反発は遅れをとっている。
- CoinGlassのデータによると、ボラティリティが急激に高まったことで、デジタル資産全体でレバレッジをかけたデリバティブポジション3億6000万ドルが清算された。
- ナンセンのアナリストは、予想を上回るインフレ率が暗号資産強気市場に影響を与えることはないと述べた。
暗号資産市場全体が下落
12日の暗号資産(仮想通貨)市場ではボラティリティが急激に高まり、ビットコイン(BTC)は史上初めて7万3000ドル(約1095万円、1ドル150円換算)を超えたが、突如その水準から6%近く下落し、その後緩やかに反発した。
本記事執筆時点では、ビットコインは7万1150ドルで推移。過去24時間では約2%の下落となり、取引高上位の暗号資産のパフォーマンスを示すCoinDesk 20(CD20)の3%下落と比較すると下落が緩やかだった。
イーサリアム(ETH)も2%下落と比較的緩やかだったが、エックス・アール・ピー(XRP)、ドージコイン(DOGE)、ライトコイン(LTC)は6%〜8%下落した。
CD20の構成銘柄の中で唯一目立った上昇となったのはアバランチ(AVAX)で、この日は15%上昇した。
CoinGlassのデータによると、このボラティリティの高まりにより、暗号資産市場全体で3億6000万ドル(約540億円)相当以上のレバレッジをかけたデリバティブポジションが清算され、そのほとんどが価格上昇に賭けたロングポジションだった。これは3月5日の調整相場以来で最大のロングポジションの清算となった。
ビットコイン上昇に衰えの兆し
暗号資産サービスプロバイダーのマトリックスポート(Matrixport)は12日の市場最新情報の中で、ビットコインの上昇には勢いが衰える兆しが見えていると指摘した。
マトリックスポートのアナリストらは、ビットコイン価格が高いにもかかわらずRSIが低下していることに言及。「我々は1月末以来、ビットコインに対して強気の見方をしてきたが、リスクリワード分析では値固めの期間の可能性が示されている」とし、「この強気市場にはまだ伸びしろがあるが、RSIの低下と依然として高いビットコイン価格の乖離は、ビットコインが再び上昇する前に値固めをする必要があることを示している可能性がある」と説明した。
6万9000ドル台はビットコインにとって重要な価格水準だ。2021年の強気相場のピークを彷彿とさせ、短期的なサポートとなる可能性がある。
2月の米インフレ率は予想を上回る
12日に暗号資産市場の乱高下に先立って発表されていた2月のアメリカのインフレ率は予想を上回った。消費者物価指数(CPI)はアナリスト予想をわずかに上回る3.2%上昇となっており、今年インフレが続くと、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを思いとどまる可能性がある。
Nansen.aiの主任リサーチアナリスト、オーレリー・バーテール(Aurelie Barthere)氏は、インフレ率は暗号資産にとって短期的な影響にすぎず、今後数週間で強気市場に影響を与える可能性は低いと指摘した。
バーテール氏は電子メールでのメモで、「暗号資産の強気の勢いが強すぎる」とし、「おそらく起こるのは、予想されるFRBの利下げの再評価だ。この再評価は強気市場に疑問を投げかけることなく過去数カ月間に起きていたため、暗号資産の大幅な下落は予想していない」とコメントした。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Matt Bowden/Unsplash
|原文:Bitcoin’s Wild Four Hours: New Record of $73K, Tumble to $69K, Rebound to $71K, $360M in Liquidations