イーサリアムのデンクンアップグレードでレイヤー2ソリューションがより安価に
  • イーサリアムのデンクンアップグレードの後、オプティミズムやBaseのようなレイヤーソリューションの平均取引コストが低下した。
  • このアップグレードにより、レイヤー2のソリューションは高価なコールデータの代わりに「BLOB」にデータを保存できるようになった。

イーサリアムのデンクン(Dencun)アップグレードは3月13日に稼働し、レイヤー2ソリューションでトランザクションをバッチ化および圧縮してからメインネットに送信する際に関連するコストを削減するメカニズムが導入された。

最新の情報によると、アップグレードは期待に応えている。

ブロックチェーンアナリストMarcov氏のDuneベースのデータによると、スケーリングソリューションのオプティミズム(Optimism)のトランザクションの平均コストは、最近の約1.4ドルから大幅に低下し、ほぼ4セントになった。コインベース(Coinbase)のレイヤー2ソリューションであるBaseの平均手数料は約1.50ドルから3セントに下がり、アービトラム(Arbitrum)は40セントに下がった。zkSyncとZoraの平均手数料も下落した。

デンクンアップグレードでは、通常のトランザクションに大きなデータチャンクを付加するバイナリラージオブジェクト(BLOB)が導入された。BLOBはデータをオフチェーンで保存し、永久に保存されるコールデータとは異なり、3週間後にはアクセスできなくなる。

そのため、オプティミズム、アービトラム、zkSyncのようなレイヤー2のロールアップは、高価なコールデータの代わりにBLOBにデータを格納できるようになり、トランザクションを低コストで処理できるようになった。ロールアップはイーサリアムのメインチェーンの外側でトランザクションを計算し、メインチェーンに提出する前に複数のトランザクションを単一のトランザクションにバンドルする。

レイヤー2ソリューションの平均トランザクションコスト。(Marcov/Dune)

ロールアップは手動でBLOBを実装する必要がある。Marcov氏によると、これまでにBase、オプティミズム、アービトラム、Zora、zkSyncが実装している。データ追跡サイトL2Beatによると、イーサリアムには40以上のロールアップがあり、そのうち26は今後のプロジェクトである。

BLOBメカニズムは最終的にレイヤー2ソリューションの取引コストを90%削減するというのがコンセンサスだ。ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏によると、125kbのコールデータには約0.06ETH(238ドル)のコストがかかる。一方、分散型予測プラットフォームのポリマーケット(Polymarket)によると、同じようなサイズのBLOBは0.001ETH(3.98ドル)で済むようだ。

とはいえ、デンクンアップグレードは、BLOBを運ぶトランザクションから最も恩恵を受けるとされるロールアップのネイティブトークンへの投資家の関心を高めるには至っていない。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Layer 2 Blockchains Become Cheaper After Ethereum’s Dencun Upgrade