投資家はゴールドからビットコインに乗り換えたわけではない:JPモルガン
  • JPモルガンは、個人投資家と機関投資家は今年、ゴールドとビットコインの両方を購入していると述べた。
  • 同行の分析によると、2月以降、金とビットコインの先物が積み上がっている。
  • マイクロストラテジーによるビットコイン蓄積は暗号資産の上昇を増幅させた。

機関投資家や個人投資家は今年、ゴールドとビットコイン(BTC)の両方を購入しており、一部のアナリストが指摘しているように、両者を切り替えているわけではないと、JPモルガン(JPMorgan)は3月14日の調査報告で述べている。

金の上場投資信託(ETF)からの資金流出とビットコインETFへの資金流入の急増は、投資家が貴金属から暗号資産(仮想通貨)にシフトしている可能性を高いと見られているが、同行はそうは思わないと報告書で述べた。

ニコラオス・パニギルツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストは、「個人投資家は年初からゴールドとビットコインの両方を上昇させており、前者から後者に移行したのではない」と書いている。

「個人投資家以外にも、投資顧問(CTA)などのモメンタムトレーダーを含むヘッジファンドのような投機的な機関投資家も、2月以降、おそらくは個人投資家よりも大量にゴールド先物とビットコイン先物の両方を購入することで上昇を後押ししたようだ」と著者らは書いている。

同行の分析では、「2月以来、ビットコイン先物で70億ドル(約1兆500億円、1ドル=150円換算)、ゴールド先物で300億ドル(4兆5000億円)のポジションが急激に積み上がっている」という。

平均回帰のリスクは高いとJPモルガンは見ており、これは両資産が平均水準に向かって下落する可能性があることを意味すると述べた。

ビットコインの購入を企業戦略としているソフトウェア開発会社マイクロストラテジー(MicroStrategy)も、上昇を増幅させる一翼を担ったと同行は述べた。マイクロストラテジーは今年だけで、10億ドル(約1500億円)以上のビットコインを購入しており、2023年最終四半期に取得した10億ドル以上に加えたと報告書は指摘した。

「マイクロストラテジーによる負債を原資としたビットコイン購入は、現在の暗号資産ラリーにレバレッジと泡沫を加え、将来起こりうる景気後退において、より深刻なレバレッジ解消のリスクを高めると考える」と報告書は述べている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Gold Investors Aren’t Switching Into Bitcoin, JPMorgan Says