ビットコインETF、好調を牽引したのは個人投資家か
  • データによると、ビットコインETFに対する需要の大部分は現状、個人投資家によるものだという。
  • ブラックロックのビットコインETF「IBIT」の平均取引額は、約1万3000ドル(約195万円、1ドル150円換算)。プロによるものではないことを示している。

ビットコインETFが1月にスタートして以来、数十億ドルもの資金が流入し、同時にビットコインをめぐるセンチメントも改善した。資金流入が大手金融機関からであれば、それほど驚くべき数字ではないが、専門家によるとそうではない。一般の人たち、つまり個人投資家からの資金だという。

ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas )氏は「アドバイザーもおそらく入っているだろうが、取引の規模から言って、個人投資家が大きな要因であることは間違いないだろう」と語った。

同氏のデータによると、世界最大の資産運用会社ブラックロックが発行するビットコインETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」は1日あたり平均25万件が取引されている。平均取引サイズは326口、約1万3000ドル(約195万円)で、同氏は取引がプロではない投資家によって行われたと見ている。

ブラックロックはコメントを控えた。だが、この件に詳しい人物は、ブラックロックは個人投資家から機関投資家まであらゆるタイプの顧客から関心を集めているが、資金流入のほとんどは個人投資家が牽引しているようだと語った。

株式市場では、大口取引は効率的な処理のために小規模なサイズに分割されるため、平均取引サイズが326口であることは必ずしも、小口の個人投資家であることを意味するわけではない。しかし、バルチュナス氏は、個人投資家が需要を牽引していることを発行体から確認したと述べた。

CoinDeskが取材した発行体も同意した。ヴァンエク(VanEck)のデジタル資産商品担当ディレクターのカイル・ダクルズ(Kyle DaCruz)氏は「大まかに言えば、個人投資家が多い」と述べた。しかし、初期は誰がETFに投資しているのかわかりにくいと同氏は付け加えた。取引の多くは公認参加者、マーケットメーカー、ブローカーによって行われ、彼らはすべて事業体の代理として投資しているためだ。

ハードルを下げたビットコインETF

ビットコインETFは、個人投資家のビットコイン投資へのハードルを下げた。実際にビットコインを保有する必要もない。ファイナンシャル・アドバイザーや証券口座を通じて取引できるため、これまで暗号資産に投資したことのない人たちも、資産の一部を簡単に暗号資産にアロケート(配分)できる。

わずか2カ月で140億ドル(約2兆1000億円)以上の資金を集めたブラックロックのIBITは、ビットコインETFの中では圧倒的な勝者だ。これは驚くことではないとバルチュナス氏は述べた。

「ブラックロックは誰にとっても圧倒的だ」とバルチュナス氏。

「流動性が高く、手数料が安い。機関投資家やファイナンシャル・アドバイザーにとって魅力的。強力な組み合わせだ」「そして、ブラックロックというブランドが付いている」

10銘柄のビットコインETFのうち9銘柄は、1月11日の取引スタート以来、資金流入が続いている。グレイスケールの「GBTC」は、クローズドエンド型ファンドとして数年の実績があるが、1月にETFに転換した後、資金が流出している。しかし、全体的にはビットコインETFは優れたパフォーマンスを見せているとバルチュナス氏は語った。

通常、ほとんどのビットコインETFのように手数料が低いETFは、収益をあげるために8000万ドル〜1億ドルを集める必要がある。現状、最も規模が小さいウィズダムツリー(WisdomTree)のビットコインETF「BTCW」は、およそ7000万ドルを集めている。

「本格的なヒットと言えるだろう」「IBITをみると、(BTCWは)人気がないように見えてしまう。だが、本当に好調だ」とバルチュナス氏は述べた。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Jason Briscoe/Unsplash
|原文:Bitcoin ETFs’ Hot Start Seems Largely Driven by Retail Investors