シベリアでは、安価な水力発電、寒冷な気候、そして廃墟となったソ連時代の産業インフラによって、イルクーツク地域が都市探検家にとって、そしてより重要なことに仮想通貨マイナーにとって魅力的な場所になっている。
ロシア最大級の水力発電所
ブラーツク市にはロシア最大級の水力発電所がある。巨大ダムと発電所はこの地域で成長中のマイニング・ファームを養っている。安価な電力は世界中の仮想通貨マイナーを大いに引きつけ、この地域を国際的なマイニング・ハブに変えつつある。
安価な電力に加えて、この地の気候はマイナーに好まれている。つまり、ブラーツクの年間平均気温は摂氏マイナス2℃、暖かいシーズン(つまり、凍っていないシーズン)は年に4〜5カ月続き、それ以外は厳寒となる。
もう1つの強みは、ロシアの市場経済への転換を生き残ることができなかったソ連時代の工場が残した数多くの廃墟。
今、そうした廃墟のいくつかは、すでに引き込まれている電力を使って、工業時代からポスト工業時代へと飛躍し、マイニング・ハードウエアの設置場所となっている。こうした人里離れた地域では、マイナーは近隣住民に迷惑をかけることなく水力発電を最大限に活用できる。
ポスト工業時代の先駆者に
ビットリバー(Bitriver)、クリプトリアクター(Cryptoreactor)、マイナリー(Minery)の3社は、この地で「マイニング・ホテル」を運営する大手事業者。マイニング・ホテルにはASIC(マイニング専用マシン)が置かれ、冷却システム、技術サポートチーム、警備員も揃っている。
ビットリバーは100メガワットの電力が供給可能であるとし、一方、クリプトリアクターは40メガワット、マイナリーは30メガワットを確保していると述べた。これらの施設では現在、アメリカ、ロシア、日本、韓国、ブラジル、リトアニア、インド、ポーランド、スペイン、中国などの顧客のマイニング機器をホスティングしている。
例えば、マイナリーの2つの施設のうちの1つでは、26個の巨大な輸送コンテナを使い、アメリカ、ロシア、韓国、インド、日本、スペインのマイナーが所有するASICをホスティングしていると同社CEOのイリヤ・ブルマン(Ilya Bruman)氏は語った。
カザフスタンに広大な施設を構築中のマイニング企業「エレクトロ・ファーム(Eletro.Farm)」のCEO、ドミトリー・オゼルスキー(Dmitry Ozersky)氏は、ロシア全土のビットコイン・マイニング施設の電力供給量は現在、合計で600メガワットにのぼり、世界のビットコイン・ネットワークを支える合計7ギガワットの電力の約10%を占めていると考えている。
我々はマイニング施設が稼働している現地に行き、面白い映像を持ち帰ってきた。
翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸
写真:Image via CoinDesk Video.
原文:WATCH: Inside a Siberian Crypto Mining Complex