ビットコインマイナーの保有BTC、3年ぶりの低水準まで減少——半減前の戦略的行動か
  • ビットコインマイナーは、2020年5月の半減期に先駆けてビットコインの保有量を増やしていたが、現在は逆に強気相場のなか売却を進めている。
  • ウィンターミュートによると、マイナーは4月20日に差し迫った報酬半減後も事業を継続させるべく、マイニング機器をアップグレードする目的で売却に動いた可能性が高い。

ビットコインマイナーは、4月20日に迫るブロック報酬半減を前に、事業の持続可能性向上を狙ってか、保有するビットコイン(BTC)の売却を進めている。

コインメトリックス(CoinMetrics)のデータによると、マイナー(トランザクション検証の報酬としてビットコインを受け取る個人や組織)が保有するビットコインは、今週179万4000BTCに減少し、2021年初頭以来最低となった。

マイナーの保有量は2023年11月以来、2万7000BTC減少しており、4年に一度のマイニング報酬半減に向けた数ヶ月で着実に売りが進んでいることを示している。半減後は、1ブロックあたりの報酬が6.25BTCから3.125BTCに減少する。

今回のマイナーの動きは、2020年5月11日に発生した前回の半減イベントまでの5ヶ月間に、保有量が約2万5000BTC増加したときとは対照的だ。

マイナーの戦略の変化は、ビットコインが最近7万3000ドル(約1095万円、1ドル150円換算)を超える記録的な高値まで上昇したことに起因する。ビットコインは今年63%急騰し、前回の強気相場のピークである6万9000ドル(約1035万円)を半減イベントのはるか前に上回った。これまでビットコインは半減イベントの数ヶ月後に高値を更新する傾向があった。

この価格上昇によりマイナーは利益を上げ、報酬半減に備えてマイニング機器をアップグレードするための資金を調達できたとアルゴリズム取引会社ウィンターミュート(Wintermute)は分析する。

「マイナーが保有するBTCはドル建てで史上最高値(1240億ドル、約18兆6000億円)に近い水準にあり、今回の売りは利益確定と機器のアップグレードを目的とした戦略的な動きと見られ、前回の半減イベントからの行動変化を示している」とウィンターミュートは週刊ニュースレターで述べた。

マイナーのBTC保有量は2020年11月以来の最低を記録。しかし、ドル建ての残高は過去最高を記録した。(CoinMetrics、Wintermute)。

ビットコインブロックチェーン上のハッシュレート(マイニングとトランザクション処理にあてられる計算力)の上昇から、マイニング機器がアップグレードされているのは明らかだ。

ハッシュレートは過去5ヶ月で毎秒600エクサハッシュへと45%増加し、前回の半減期前の15%増を上回る大幅な伸びを記録した。

「ハッシュレートが一貫して上昇していることから、一部のマイナーは、半減による収益への影響を軽減するために、マイニング機器の追加やアップグレードを行っていることがうかがえる」とウィンターミュートは指摘する。

「この早い段階での投資は、将来の前向きな見通しと長期的な事業の回復力を重視する戦略の変化を反映している」

|翻訳・編集:行武 温
|画像:Leamsii/Pixabay
|原文:Crypto Miners Run Down Bitcoin Inventory to 3-Year Low in a Strategic Pre-Halving Move