ビットコイン現物ETFの誇大宣伝は下火になり、正常化が始まる
  • ビットコイン現物ETFへの資金流入は、大量の購入が数週間続いた後に鈍化した。
  • ブラックロックのIBITだけが、純流入日の連続記録を維持している。
  • 専門家によると、これはETF業界では通常の展開だという。

ビットコインETFで流出が発生

ビットコイン現物ETF(上場投資信託)をめぐる当初の高揚感は一見弱まり、最近ではグレイスケール(Grayscale)のビットコイン・トラスト(GBTC)から依然として速いペースで流出が発生しているのに流入が追いついていないという現実が徐々に現れ始めている。

その結果、4月12日までの週には現物ETF全体で1766BTCの純流出が見られた。

先週12日金曜日だけでなく翌15日月曜日にも、フィデリティ(Fidelity)のワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド(FBTC)への流入額は0ドルで、1月11日の発売時から始まった純流入日の連続記録が途絶えた。これにより、ブラックロック(BlackRock)のiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)が、現物ETFの取引が始まって以来純流入日の連続記録を維持している唯一のビットコイン現物ETFとなる。

インベスコ・ギャラクシー・ビットコインETF(BTCO)、ヴァンエク・ビットコイン・トラスト(HODL)、ヴァルキリー・ビットコイン・ファンド(BRRR)など、他の現物ETFのほとんどでは、流入ゼロ、さらには時折流出が発生するのが常態となっている。

流入鈍化は異常なことではない

ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のETFアナリスト、ジェームズ・セイファート(James Seyffart)氏はX(旧Twitter)で、これは異常なことではないと指摘。15日月曜日にはアメリカ市場の全ETFの約83%で資金流入がゼロだったことを例に挙げた。

セイファート氏は、ETFの発行と償還は、需要と供給に十分な量の不均衡が存在し、発行・償還ののコストがヘッジよりも低い場合にのみ行われると説明した。ビットコインETFの場合、発行単位は5000口から5万口の範囲だ。セイファート氏は、「軽微な不均衡が起きると、マーケットメーカーは株式でやるように(ETFの)口数の取引を処理することになるだろう」と述べた。

流入が再度増加する可能性

ただし、最近の減速は、トレーダーが資金流入の低下に慣れる必要があることを意味するものではない。発売から最初の数週間におけるETFのセンチメントは確かに、これまでに見られた他のどのETFよりも高い取引高をもたらしたが、トレーダーは将来的にはより大きな純流入を目にする可能性がある。

3月にビットコイン先物ファンドをビットコイン現物ETFに転換したハッシュデックス(Hashdex)の最高投資責任者(CIO)であるサミール・カーベッジ(Samir Kerbage)氏は、「流入が再び増加する可能性は確かにある」と述べた。

カーベッジ氏は、「世界中の多くの銀行、基金、年金基金は、新たに始まったETFを通じたビットコインへの戦略的配分を検討するのに先立ち、デューデリジェンスのプロセスを始めたばかりだ」とし、「こうした大手金融機関が今後数カ月間に決定を下すにつれて、流入が再び増加する可能性があり、アメリカ史上最も成功したETFの立ち上げの1つに関する新たな節目に到達する可能性がある」とコメントした。

1日あたりで1000BTC以上の流出が続いているグレイスケールのビットコイン・トラスト(GBTC)については、セイファート氏は流入への転換を予想していない。同氏はCoinDeskに対し、「GBTCは現在構築中なので、そこへの流入はあまり期待していない」とし、「GBTCの経費率は1.5%なので、GBTCに純流入日があれば驚くだろう。さらに、どの期間でも継続的な流入があれば衝撃を受ける」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Jim Wilson/Unsplash
|原文:Spot Bitcoin ETF Hype Dies Down, Normalcy Sets In