DeFi(分散型金融)はメインストリームになる──日本企業はいま何をすべきか?【N.Avenue clubラウンドテーブルレポート 4月】

アメリカでのビットコインETF承認を契機とした暗号資産市場の上昇とともに、DeFi(分散型金融)への関心が再び高まっている。前回の「DeFiの夏」の盛り上がりと崩壊を教訓に、新たな局面に入りつつあるDeFi。一般に「日本ではDeFiは難しい」と言われているが、手をこまねいて良いはずはない……。

CoinDesk JAPANを運営するN.Avenueが2023年7月より展開している、Web3をリサーチする大手企業のビジネスリーダーを中心とした限定有料コミュニティサービス「N.Avenue club」。4月25日には、ラウンドテーブル Vol.10を「DeFi(分散型金融)」をテーマに開催した。今回から登壇者のプレゼンテーション、質疑応答に加えて、アドバイザリーボード・メンバーを交えて参加会員同士で議論し、内容を消化・深化させる時間を設定。

DeFiは馴染の薄いテーマだけに、議論がどこまで盛り上がるか不安もあったが、参加会員それぞれのポジション、関心事からさまざまな論点が生まれ、DeFiについてその意義や可能性についての理解を深める機会となった。

ラウンドテーブルは会員限定のクローズ開催のため、ここでは当日のプレゼンテーションや議論の様子について、アウトラインを紹介する。

DeFi(分散型金融)はメインストリームになる──日本企業はいま何をすべきか?

DeFiは、その意味する範囲が広いため、まずはDeFiの概要、基礎知識を確認するところからスタート。KPMGジャパンの保木健次氏(Web3.0推進支援部 部長/有限責任 あずさ監査法人 金融統轄事業部 ディレクター)が「DeFi(分散型金融)の概要」と題して、代表的な事例、市場規模、伝統的金融の参加ポイントなどを紹介した。

(KPMGジャパンの保木健次氏)

続けて「DeFiの法規制」と題して、弁護士の福井崇人氏(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 パートナー)が、証券監督者国際機構(IOSCO)の勧告やSEC(米証券取引委員会)の動き、さらには日本の法律との関係を解説。ハードルは存在するものの、「遵法性と分散性の両立可能性」を示した。

(弁護士の福井崇人氏)

3人目にプレゼンテーションを行ったのは、オンチェーン債券市場に取り組む菊池マサカズ氏(Secured Finance 創業者兼CEO)。元金融マンの経験から、金融機関が資金の運用と調達を行う「インターバンク市場は銀行同士がP2Pで取引しており、DeFiに適している」と述べ、まったく相容れないものを考えがちな、DeFiとTradFiの類似性・親和性を指摘した。

(Secured Financeの菊池マサカズ氏)

さらに、3名のプレゼンテーションや参加会員での議論からは「KYC済みのウォレットと規制されたトークンを前提にすれば、DeFiの展開は可能ではないか」「TradFiがDeFi技術を取り込むことで、DeFiが進展するのではないか」などの見解や意見が生まれた。

毎回、クローズドな環境で、ディープでホットな議論が繰り広げられる「btokyo club」。Web3領域でのビジネスにご関心のある方、実際にWeb3ビジネスを推進されている方は、ぜひ、以下のボタンからお問い合わせください。

なお、4月からは名称を「N.Avenue club」に改め、内容をより充実させて開催していきます。

|テキスト:btokyo members
|編集:CoinDesk JAPAN
|写真:多田圭佑