バイエルクロップサイエンス(Bayer Crop Science)は、中国EC大手アリババ(Alibaba)の決済関連会社アント・フィナンシャル(Ant Financial)と農産物モニタリング向けのブロックチェーン・ベースのシステム開発を行うことで合意した。
2019年9月25日(現地時間)の発表によると、同社はブロックチェーン技術を利用して効率性を高め、農家の収入を向上させ、高品質の食品生産を保証し、農業のデジタル化支援を行うとする合意書を交わした。
この合意で、ドイツのモーンハイム・アム・ライン町のバイエルクロップサイエンスと、中国杭州市のアント・フィナンシャルのブロックチェーン部門のポートフォリオとデジタル農業技術が組み合わされることとなる。
契約規模や両社の協業がどのような形態で行われるかは明らかにされていない。
「バイエルと共に農業においてブロックチェーンを追求することで、サプライチェーンの透明性と反応性を向上させ、消費者や農家、社会に対してより価値をもたらすだろう」とアント・ファイナンシャルのインテリジェント・テクノロジーグループ(Intelligent Technology Group)バイスプレジデントで統括マネージャーのジェフ・ジャン(Geoff Jiang)氏は声明で述べた。
2014年創立のアント・ファイナンシャルは33%をアリババが所有している。アリババ・ブランドは、中国のモバイル決済主要2社のうちの1つであるアリペイ(Alipay)を擁している。
近年同社は多くのブロックチェーン関連の投資と発表を行っている。2018年にはこういったブロックチェーン、AI、IoT関連の新たな技術開発のために140億ドル(約1.5兆円)を調達した。
今月初めにアント・ファイナンシャルはチャリティ向けプラットフォーム用のブロックチェーンシステムを開発中であると発表した。そこではプロセスの透明性の改善と慈善団体による資金調達総額の水増しを防ぐ。
5月には、ブロックチェーンのためのプライバシー技術を開発するQEDITによる1,000万ドル(約11億円)のシリーズA投資ラウンドにおいてアント・フィナンシャルは出資に参加している。3月には上海を拠点とする2つの会社が発表された。 アント・ファイナンシャルの子会社となるアント・ブロックチェーン・テクノロジー(Ant Blockchain Technology)とアント・ダブルチェーン・テクノロジー(Ant Doublechain Technology)だ。
アント・ファイナンシャルは送金用途でのブロックチェーン利用にも取り組んでおり、昨年はフィリピンと香港間での資金移動システムを導入した。
バイエルクロップサイエンスは2018年にモンサント(Monsanto)を買収したが、積極的にブロックチェーン開発に取り組んでいる。今年に入ってからイーサアム開発のスタートアップであるコンセンシス(ConsenSys)からスピンアウトしたブロックアップ(BlockApps)と契約を結んでいる。
翻訳:下和田 里咲
編集:T.Minamoto
写真:Field image via Shutterstock
原文:Ant Financial and Bayer to Jointly Develop Blockchain for Agriculture