- ビットコインは、米雇用統計が低調だったことを受けて5%近く上昇した。
- コインベースのアナリストらによれば、FOMCの結果がハト派だったため、米ドルの急騰が天井を迎えた可能性が高く、これは暗号資産に有利となる。
暗号資産市場は3日、ビットコイン(BTC)の上昇に牽引されて反発し、下落の最悪の時期は終わったかもしれないとの期待が高まった。
米雇用統計が低調
4月の米雇用統計が予想よりも低調だったことで金利上昇への懸念が和らいだ。ビットコインはアメリカ時間午前に5%近く急騰し、6万2000ドル(約930万円、1ドル150円換算)を超えた。本記事執筆時点でビットコインは過去24時間で4.4%上昇した水準の6万1600ドルで取引されており、取引高上位の暗号資産のパフォーマンスを示すCoinDesk 20 Index(CD20)の3%上昇を上回っている。
イーサリアム(ETH)は3000ドル(約45万円)台を回復し、同期間に3%上昇した。一方、主要アルトコインであるドージコイン(DOGE)、柴犬コイン(SHIB)、ニアプロトコル(NEAR)は5%~10%上昇した。
この上昇の要因となった4月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は17万5000人増加との結果だったが、アナリスト予想の24万5000人や前月の31万5000人を下回っていた。失業率も3月の3.8%から3.9%に上昇した。
CME FedWatchツールのデータでは、雇用統計を受けて市場参加者は9月までに少なくとも1回の利下げが行われる確率を68%と見ており、1週間前の57%から上昇した。
3月中旬以降のビットコインの調整は、根強いインフレに直面してここ数か月に連邦準備制度理事会(FRB)の政策立案者らがよりタカ派的な姿勢をとっているとの懸念の高まりと同時に起きている。今年利下げが一度も行われないと予想しているトレーダーもいる。こうした状況により、ドルインデックスは11月以来の最高値に達しており、暗号資産のようなリスク資産にとっては弱気のシグナルとなっている。
ハト派のFOMC声明も影響
低調な雇用データに加えて、暗号資産取引所コインベース(Coinbase)のアナリストであるデイビッド・ハン(David Han)氏とデイビッド・ドゥオン(David Duong)氏は、今週開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、政策立案者者らが利下げには関心を示さなかったものの、中央銀行のバランスシート縮小(量的引き締め)のペースを緩めたことをハト派の兆候として注目した。
ハン氏とドゥオン氏は、「FOMCの予想以上にハト派な声明は、FXと暗号資産の取引ペアの両方に対する米ドルの上昇モメンタムのピークを示唆していると考えている」と述べた。
暗号資産取引所ビットメックス(BitMEX)の元CEOであるアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏は3日、ビットコインは今週の安値5万6000ドルで底を打った可能性が高いとしたが、今後数か月は市場が冷え込むため、3月に記録した高値に向けた急速な回復ではなく緩やかな上昇を予想するよう投資家にアドバイスした。
今後の見通しについてヘイズ氏は、「6万ドルを超えるまで上昇し、その後8月まで6万ドル~7万ドルの間でレンジ相場が続く」と予測した。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Hits $62K as Cryptos Bounce; Correction Likely Over But Expect a ‘Slow Grind Higher,’ Arthur Hayes Says