ビットコイン、トランプ氏の勝利とアメリカの財政支配から恩恵を受ける可能性:スタンダードチャータード
  • アメリカの財政支配と政府債務のマネタイゼーション(現金化)のリスクにより、投資家は暗号資産などの代替資産を求める可能性があるとスタンダードチャータードはレポートで指摘した。
  • 同行は、トランプ氏の選挙勝利はデジタル資産にとってプラスになる可能性があると述べた。
  • 同行は、年末に15万ドル、2025年末に20万ドルとしたビットコインの価格目標を維持した。

投資銀行のスタンダードチャータード(Standard Chartered)は7日の調査レポートで、米連邦準備制度理事会(FRB)による政府債務のマネタイゼーション(現金化)を伴うアメリカの財政支配のリスクは高まっており、投資家が代替資産を求めるようになるため、そのようなシナリオは暗号資産(仮想通貨)にとってプラスになるはずだと述べた。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏も暗号資産にとっては恩恵となる可能性がある。レポートでは、「より支援​​的な規制環境を通じて、第2次トランプ政権は概ねプラスになると考えている」とされている。アナリストのジェフ・ケンドリック(Geoff Kendrick)氏は、「アメリカの財政支配というシナリオでは、ビットコイン(BTC)はドル離れと米国債市場への信頼低下に対する良いヘッジになると考えている」と説明した。

アメリカの財政支配は、米国債のカーブに3つの影響を及ぼす可能性が高い。ケンドリック氏は、「名目2年/10年のカーブがよりスティープ化すること、実質利回りよりもブレイクイーブン(市場が予想する期待インフレ率)が上昇すること、タームプレミアム(期間プレミアム)が上昇すること」を挙げ、ビットコイン価格はこれら3つの潜在的な展開すべてと正の相関関係にあると指摘した。

スタンダードチャータードは、トランプ氏が選挙に勝った場合、第2次政権は財政上の懸念により外国当局が米国債購入から撤退するのを加速させる可能性があるとしており、同氏の第1期の米国債の純売却額は年平均2070億ドル(約32兆850億円、1ドル155円換算)だったのに対し、バイデン政権下ではわずか550億ドルだったと指摘した。

レポートは、「脱ドル化によってビットコインが受動的に押し上げられるのに加えて、第2次トランプ政権は規制緩和やアメリカの現物ETF(上場投資信託)の承認を通じてビットコイン(そしてより広い意味でのデジタル資産)を積極的に支援すると予想される」と述べた。ビットコインの価格目標については、年末に15万ドル、2025年末に20万ドルと改めて表明した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:White House
|原文:Bitcoin Could Benefit From a Trump Win and U.S. Fiscal Dominance: Standard Chartered