イーサリアム、「デンクン」による手数料削減でインフレ型資産に逆戻り
  • 直近の「デンクン」アップグレードにより、イーサリアムの取引手数料は大幅に低下した。
  • その結果、手数料として焼却(バーン)されるイーサリアムが減り、デフレ型資産ではなくなっている。

イーサリアムブロックチェーンが最近行った「デンクン」アップグレードは、手数料を削減し、ネットワークの拡張性を改善するためのものだったが、イーサリアム(ETH)がインフレ型資産に逆戻りする事態となっている。2022年の「マージ(Merge)」によって実現した大きなメリットがなくなってしまう可能性がある。

ブロックチェーン分析会社CryptoQuantのレポートによると、デンクンはイーサリアムの取引手数料を大幅に削減したが、焼却(バーン)されるイーサリアムの量がマージ後の最低レベルにまで減少し、供給が2022年以降、最速ペースで進んでいる。

2022年のマージによって、イーサリアムはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーンに移行した。これは、先行して行われた、一定の割合の取引手数料(ベース手数料)を焼却する「ロンドン(London)」アップグレードと対になるもので、この結果、流通していたイーサリアムが市場から実質的に取り除かれることになり、デフレ圧力を生み出していた。

イーサリアム(ETH)のトランザクション手数料の比較グラフ
Ether supply (CryptoQuant)

最新のアップグレードであるデンクンは「ダンクシャーディング(danksharding)」を導入、ブロックストレージを改善し、レイヤー2ネットワークのコストを下げた。

イーサリアムは2022年9月のマージ以降、供給量を1億2049万1000から1億2000万9700に減らしており、デフレ型資産となっていた。しかし、デンクン以降は、供給の自然な増加が手数料として焼却される量を上回っている。イーサリアムの供給量は4月以降、40万増加している。

|翻訳・編集:Shun Ide
|画像:Jp Valery/Unsplash, CryptoQuant
|原文:ETH Reverts to Inflationary Asset Following Fee-Reducing Dencun Upgrade