大きな期待を集めた、インターコンチネンタル取引所(Intercontinental Exchange)のビットコイン先物は1週目の総取引額をわずか500万ドル(約5億4000万円)で終えた。デイリー契約は5件を下回った。
同取引所がデジタル資産向けの新市場として2018年に立ち上げたバックト(Bakkt)によると、先週およそ623件のマンスリー契約が取引された。マンスリー契約とデイリー契約はともに2019年9月23日(現地時間)にスタートした。
バックトの先物取引は1契約1ビットコイン(BTC)にあたるため、記事執筆時のビットコイン価格8322ドル(約90万円)で換算すると、総取引額は500万ドルをわずかに上回る額となった。
対照的に2017年に開設された競合の取引所、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、9月27日のみでおよそ4099件のビットコイン先物が取引された。CMEの先物契約は1契約が5ビットコイン(BTC)にあたるため、1日の総取引額は1億6500万ドル(約180億円)となる。
バックトのデイリー先物はさらに厳しく、第1週の取引は5件を下回った。
バックトの幹部らは、新しい先物取引は仮想通貨業界にとって画期的なものになると述べ、ビットコインや他のデジタル資産の購入にこれまで乗り気ではなかった大型機関投資家にアピールしていた。
バックトによると、満期日には契約条件を満たすためにビットコインを引き渡す必要があるため、新しい商品はヘッジファンドや他の資金運用会社のような機関投資家にとって魅力的なはず。
その特徴は、ポートフォリオを分散したい資産所有者にとって、大きな利点になるとアピールしてきた。一方、CMEの先物契約は現金で決済され、個人投資家の人気を集めている。
ニューヨークに拠点を置き、投資家が複数の取引所を使って仮想通貨を取引することを支援する企業、コインルーツ(CoinRoutes)のCEO、デイブ・ワイスバーガー(Dave Weisberger)氏は、現在のビットコイン投資家は、すでに売り買いのための十分な場所を持っているが、バックトの新しい動きを見限るのは時期尚早と電話インタビューで語った。
「コストもしくは流動性の理由がない限り、人々がある取引所から別の取引所に移行するには時間がかかる」とシティグループ(Citigroup)やモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)に勤めた経験を持つワイスバーガー氏は語った。
「こういったものは、ゆっくり発展していく傾向にある」
インターコンチネンタル取引所の広報担当ダモン・リーヴェル(Damon Leavell)氏は、最初の週には「力強い業界の参加」が見られたとメールで語った。
10月に満期を迎える契約は「市場で最も小さなビッド・オファー・スプレッド(売値と買値の差)を見せた。それはエキサイティングな成果だった」とリーヴェル氏は語った。
ウォールストリートのアナリストらは、いわゆるビッド・アスク・スプレッド(買値と売値の差)を市場の運営効率を測る目安としている。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Chart image via Shutterstock
原文:Trading Volume for Bakkt’s Bitcoin Futures Hit Just $5 Million in First Week