クラーケン、SECの訴えの棄却を裁判所に求める
  • クラーケンの弁護士は、アメリカの金融規制構造の「大幅な再編成」を避けるため、SECの請求を棄却するように裁判所に求めた。
  • この問題は、SECがクラーケンが上場している暗号資産に対して管轄権を持つかどうかに集約されるようだ。

5月9日にカリフォルニア北部地区連邦地方裁判所に提出された書類よると、暗号資産取引所のクラーケン(Kraken)は、金融規制構造の「大幅な再編成」を避けるために、アメリカ証券取引委員会(SEC)の同社に対する提訴を棄却するように裁判所に要請した。

SECは昨年11月、クラーケンがブローカー・清算機関・取引所として登録されておらず、登録なしに証券である暗号資産を扱ったとして提訴した。これは、クラーケンのステーキングサービスに関する訴訟が和解した数カ月後のことだった。

2024年2月、クラーケンはSECの訴えを退けるために動いた。暗号資産(仮想通貨)、少なくともSECの訴状に記載されている暗号資産は証券ではなく商品のように扱われるべきであるとクラーケンは主張した。

先月、SECはクラーケンの却下申し立てに対して39ページにわたる反対意見を提出し、その中で「この執行措置は、議会がSECに与えた権限を超えるわけではない」と述べた。

4月の提出書類では「SECは、証券仲介業者がSECに登録するという要件を含む、証券法および取引法を執行するために議会によって設立された」とSECは述べている。「クラーケンが登録しなければならないという決定において、(ある資産が証券かどうかを見極めるための)Howeyテストを適用することで、単に議会の命令に従っただけだ」。

SECはさらに、「新たな権限を想定している」わけではなく、議会は「出現した新しいテクノロジーごとにオーダーメイドの法律を制定する必要はない」と主張した。

SECの棄却申し立てに対するクラーケンの最新の反論は、何が証券で何が証券でないかを判断するHoweyテストを使ってSECの管轄権をどこまで解釈できるかにかかっている。それは、4つの基準を満たすかどうかを判断する。つまり証券とみなすためには、他者の努力に基づく、利益を期待して、一般の事業に、資本を投資するものであることが必要だ。

クラーケンの弁護士は「SECは、他者の努力に基づく利益を合理的に期待できる共同事業への資金投資というHoweyの要件を満たすことはできない」と書いている。「これは、SECに委任されたことのない多くの投資活動にまでSECの管轄権を大幅に拡大することであり、Howeyを根底から覆すことになる。このようなアメリカの金融規制構造の大幅な再編成は、法廷ではなく、議会で議論されるべきだ」。

この問題は、ウィリアム・H・オリック(William H. Orrick)判事が6月12日に審理する予定だ。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/Kraken
|原文:Kraken Asks Court to Dismiss SEC Claims to Avoid ‘Significant Reordering’ of U.S. Financial Structure