「弱まる円を保持する代わりにビットコインを継続的に増やす」東証上場のメタプラネット

4月上旬にビットコイン購入を発表したメタプラネットは5月13日、「メタプラネットの財務管理の戦略的転換およびビットコインの活用について」と題したプレスリリースを発表した。

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リリース冒頭の要旨でメタプラネットは「現在のグローバルな金融環境の課題と機会の両方を正しく把握し、メタプラネットは戦略的な財務管理資産としてビットコインを採用しました」と記している。さらに、今回の取り組みの要因として、日本の「過度な債務水準」「長期にわたる実質マイナス金利」「その結果としての円安」をあげ、「弱まる円を保持する代わりにビットコインを継続的に増やすこと」を目指しているとした。

要旨に続いて、リリースでは「現在の経済環境」と「ビットコイン採用の戦略的根拠」を説明。特に、債務残高がGDP比261%と先進国で最も高い水準にある状況は「国家通貨の価値を下げる長期にわたる金融緩和を必要としています」と指摘。円安を必要としつつ、下落を抑えるために介入していることは「持続不可能な金融パラドックスの二重の束縛」と記している。

同社のビットコイン保有残高は、5月10日のリリースによると、117.7217BTCにのぼる。平均購入価格は1019万3536円、購入総額は12億円。

展開してきたホテル事業が新型コロナウイルスの影響を受け、新規事業のWeb3およびメタバース関連事業も早期の収益化が難しいなか、「ビットコインに焦点を当てた企業戦略に方向転換」した同社の取り組みは、ビットコイン保有で知られる米上場企業マイクロストラテジー(MicroStrategy)の戦略を倣ったものとも言えるだろう。リリースには「メタプラネットをグローバルにビットコインに焦点を当てた投資ビークルとして世界的に位置づけます」とある。

メタプラネットの株価は、4月上旬に約9億円のビットコインをバランスシートに追加すると発表した後、それまでの19円付近から直後には40円を超える水準まで上昇。当記事執筆時点では30円付近となっている。

|文:増田隆幸
|画像:メタプラネットのWebサイト(キャプチャ)