- ビットコインの平均取引手数料は、半減とルーンズによる急騰から反転した。
- アナリストは、手数料の低下とBTC価格の上昇の停滞は、マイナーからの売り圧力につながる可能性があると述べた。
ビットコイン(BTC)のマイナーは、4月20日(日本時間)に報酬半減が実施される前にコインの保有を減らした。ブロックチェーンの使用料が安くなり、マイナーの収益が圧迫されているため、この傾向は再びやってくる可能性がある。
「1日の平均ネットワーク手数料は半減後に急上昇し、ビットコインマイナーの痛みをいくらか相殺した。しかし、その後、ルーンズ(Runes)プロトコルへのユーザーの熱狂が冷めたため、手数料は下がってきている」とKaikoのアナリストは「Reality Bites for Miners」と題した週次のノートで述べている。
「最近の手数料の低下はマイナーからの売り圧力につながる可能性がある」とアナリストは付け加えた。
ビットコインの価格は、破たんした暗号資産(仮想通貨)取引所マウントゴックス(Mt.Gox)が債権者に90億ドル(約1兆4000億円、1ドル=155円換算)の支払いを行うことによる下落リスクに直面しており、マイナーからの売り圧力は状況をさらに悪化させる可能性がある。
ビットコインのマイナーは、ブロック報酬と取引手数料の2つから収入を得ている。マイナーは、ブロックチェーンに新しいブロックを追加する報酬として一定額のBTCを受け取り、採掘したブロックに取引を含める取引手数料も受け取る。
先月の半減により、1ブロックあたりのコイン排出量は6.25BTCから3.125BTCに減少し、マイナーの収益性への悪影響を補う責任が取引手数料とビットコイン価格に課せられた。
Glassnodeが追跡したデータによると、平均取引手数料は当初、0.0003BTCから半減直後の6年ぶりの高値0.00199BTCまで急上昇した。この急騰は、非代替性トークンプロトコルのルーンズの助けを借りて、ビットコインブロックチェーン上にトークンを「エッチング」して発行することにトレーダーが殺到したことによる。
しかし、ルーンズからのシュガーラッシュは短命で、平均手数料は半減前に見られたレベルまですぐに急落した。14日の時点で、平均取引手数料は0.000039BTCだった。
CoinDeskのデータによると、半減後のビットコイン価格は4%以上下落し、6万2000ドル付近となっている。
「手数料の上昇により、ビットコインのマイナーは半減後のストレスをいくらか緩和できていたが、マイナーの報酬が削減されたことで、プレッシャーを感じ始めている」とKaikoは述べている。「新しいブロックを作成するプロセスには多大なコストがかかるため、マイナーはコストをカバーするために売却を余儀なくされるだろう」。
Glassnodeによると、記事執筆時点では、マイナーに関連するウォレットは1805万BTC(約17兆3000億円)を保有していた。
10x Researchの創設者であるマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、今後数カ月でマイナーたちはおよそ50億ドル(約7750億円)のBTCを清算すると予想している。
「価格が上がらないのに、なぜ在庫を抱えるのか」とティーレン氏は自身の見解を説明した。
暗号資産取引所デリビット(Deribit)はXで同様の見解を示し、マイナー主導でビットコイン価格が下落する可能性をナビゲートする「ベアコールスプレッド」と呼ばれるオプション戦略について議論した。
「ビットコインは高値を更新し、マイナーは収益と手数料の減少に直面し、保有資産の売却を迫られる。この市場をナビゲートしたいトレーダーにとって、ベアコール・スプレッド戦略は検討すべき適切なアプローチとなり得る」とデリビットは述べた。
ベア・コール戦略とは、市場に対する見方が中程度に弱気な場合にとられるオプション戦略だ。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Fee Crash Could Lead to Faster Miner Selling, Analysts Say