- JPモルガンは、現在のビットコインマイニング・コストは約4万5000ドルと推定している。
- ルーンズ・プロトコルがスタートしたことで、ハッシュレートは半減期後、予想に反して、すぐには下落しなかったという。
- 同行は複数の逆風要因により、ビットコインが短期的に上昇することはないと見ている。
現在のビットコイン(BTC)ネットワークのハッシュレートと消費電力から、マイニング・コストは約5万ドル以上から約4万5000ドルに低下すると推定できるとJPモルガン(JPMorgan)は5月16日のリサーチレポートで述べた。
同行は以前、採算の合わないマイニング事業者がネットワークから撤退するため、半減後にハッシュレートは大幅に低下すると予想していたと述べていた。ハッシュレートは低下しているが、予想よりも若干遅れている。4年に1度の半減期は4月だった。半減期によってマイナー報酬は50%削減されるため、ビットコインの供給増加率は低くなる。
ハッシュレートとは、ブロックチェーン上でマイニングとトランザクション処理に使用されている総計算能力を指す。ハッシュレートの低下が遅れた理由は、トークン生成の新しい形式であるルーンズ(Runes)プロトコルがスタートし、取引手数料が一時的に急上昇したためと思われるとレポートは記した。
「これが半減期直後、マイナーの収益を一時的に押し上げた」とニコラオス・パニギルツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストらは述べ、「ビットコインマイナーは半減期によるマイニング報酬の減少を取引手数料の高騰で相殺でき、マイナー報酬はほとんど変わらなかった」と付け加えた。
「しかし、ルーンズによる盛り上がりは短期的で、ユーザーのアクティビティと手数料は1、2週間で激減した」とアナリストらは記し、「これは特に半減後の環境において、持続可能な収益源を維持するためにビットコインマイナーが直面している、現在進行形の課題を浮き彫りにしている」と指摘した。
「ルーンズの盛り上がりが薄れ、マイナーの一時的な収益増がなくなるにつれ、ネットワーク上の消費電力はハッシュレート以上に減少しており、これは採算が取れない非効率なマイニング装置を保有するマイナーたちが撤退したことを示している」
ビットコイン価格との相互作用もある。「ビットコイン価格が下落すればするほど、ネットワークからの撤退圧力に晒される採算性の低いマイナーが増え、結果的にハッシュレートとビットコイン・マイニング・コストの下落幅はより大きくなる」とレポートは付け加えた。
JPモルガンは、ポジティブな上昇要因に欠けることや個人投資家の購買意欲の減少など、以前から指摘されているいくつかのマイナス要因により、ビットコインの短期的な上昇は限定的と見ている。
|翻訳:Yuta Takahashi
|編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Bitcoin Mining Cost Drops to $45K as Inefficient Miners Exit: JPMorgan