- コインベースの株価は16日に8%近く下落し、202.49ドルとなった。
- この下落には、先物取引所のCMEが顧客に現物ビットコイン取引の提供を検討しているとのフィナンシャル・タイムズ紙の報道が影響している。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が、顧客の強い関心を背景に間もなく現物ビットコイン取引を提供する可能性があるとのフィナンシャル・タイムズ紙の報道を受けて、コインベース(Coinbase)の株価は16日のアメリカ時間午前中に8%近く下落して202.49ドル(約3万1000円、1ドル155円換算)となった。
この日、暗号資産(仮想通貨)市場は上昇した。取引高上位の暗号資産のパフォーマンスを示すCoinDesk 20 Index(CD20)は、過去24時間で0.91%上昇した。ビットコイン(BTC)は、予想よりもリスク資産に有利だった15日発表のインフレ指標を材料とした上昇を継続したため、0.5%上昇した。年初から暗号資産市場が上昇していたため、コインベース株も年初から29%上昇している。
CMEは世界最大の先物取引所
シカゴに拠点を置くCMEは1世紀以上の歴史を持ち、世界最大の先物取引所であり金融大手だ。最近まで、コインベースはアメリカで最も信頼できる暗号資産取引所とされていることから大きな利益を上げてきたが、CMEが参入すればその優位性は変わる可能性がある。
CMEは米規制当局から「システム上重要な金融市場事業体」に指定されている。これに指定されると、より厳格な監督の対象となる。また、多くの投資家は、この指定は財政的苦境に陥った場合でも政府がCMEを決して破綻させないことを意味すると考えている。
CMEはすでに建玉ベースでアメリカ最大のビットコイン先物取引所となっている。
関係者がフィナンシャル・タイムズに話したところによると、CMEは規制された市場でビットコインを取引することを望むトレーダーらと会合を行っていると述べたという。
暗号資産取引所への信頼欠如が問題に
トレーダーがデジタル資産に触れたがらない理由として一般的なものは、暗号資産取引所に対する信頼が欠如していることだ。かつては非常に人気のあった暗号資産取引所FTXなど、近年複数の悪質なプレーヤーが排除されたことを受けて特にこの傾向が強まっている。
最近始まったビットコイン現物ETF(上場投資信託)は、トレーダーにビットコインに投資するより安全な方法を提供した。立ち上げからわずか3か月で500以上の機関がこれを利用し、ファンドだけで100億ドル(約1兆5500億円)以上の資金を割り当てた。残りの400億ドル以上は個人トレーダーからの資金だった。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Alpha Photo/Flickr
|原文:Coinbase Shares Sink 9% on Report CME to Consider Listing Spot Bitcoin