ロシア核技術者に罰金——極秘研究所のスパコンで仮想通貨マイニング

ロシアの原子力研究所で不法にビットコイン(bitcoin)のマイニングを行ったとして逮捕された3名の科学者のうち1名に対して、45万ルーブル(約7000ドル、約75万円)の罰金が科された。

モスクワ・タイムズ(Moscow Times)が2019年10月1日(現地時間)に伝えたところによると、デニス・バイコフ(Denis Baykov)氏は、仮想通貨として世界トップクラスの市場価値を誇るビットコインを不法にマイニングするために研究所のスーパーコンピューターにアクセスしたとして、裁判所から罰金を言い渡された。

ロシアのサロフに位置する、この極秘の研究所は、1940年代後半に初めてソビエトの核爆弾が製造された場所だ。いまでもロシアで最も強力なコンピューターの拠点でもある。

このマイニングを行った3名は昨年2月に初めて摘発され、すぐにロシア連邦保安庁へ引き渡された。

ビットコインはマイナーを利用して、強力なエネルギー集約型コンピューターでプルーフ・オブ・ワーク(proof-of-work)の総意メカニズムを使ってトランザクションを記録し、ブロックチェーンを保証する。マイニングパワーは1秒当たりのハッシュ計算回数で測られる。

2019年10月1日(現地時間)の報道によると、バイコフ氏は他の2人の研究所員と共に研究所のコンピューターでのマイニングを隠すために特別に設計されたソフトウェアを利用しており、1秒当たり1000兆回に及ぶ演算、すなわち1ペタフロップのトランザクションが実行可能であった。しかし、1秒当たりのハッシュ計算回数は、1秒当たりの演算回数に換算できるものではない

ビットコイン価格は1ビットコイン当たり約8,000ドル(約86万円)前後であるため、3名の弁護士の1人であるアレクセイ・コヴァレフ(Alexei Kovalyov)氏は得られうる結果に比べて罰金はとても少額であると仄めかした。

「一つ確実に言えることは、マイニングを始めた初日に捕まったわけではないのです」

翻訳:下和田 里咲
編集:T.Minamoto
写真:Nuclear Power Plant image via Shutterstock
原文:Russian Nuclear Scientist Gets $7,000 Fine for Mining Bitcoin at Work