クレイグ・ライト(Craig Wright)氏は、暗号資産オープン特許同盟(Crypto Open Patent Alliance:COPA)との訴訟において、自分がサトシ・ナカモトであるという主張に関して、書面と口頭の証拠の両方で「広範囲かつ繰り返し」嘘をついたと、ジェームズ・メラー(James Mellor)判事は5月20日の判決文の中で述べた。
メラー判事は3月、ライト氏はビットコインの発明者であるナカモト氏ではなく、ホワイトペーパーとして知られるこの暗号資産(仮想通貨)の基本文書の著者でもないと結論づけていた。
判決は上訴可能だが、1カ月におよぶ裁判の後のメラーの決定的な声明は、コミュニティのメンバーに対するライト氏の法廷闘争を長い間批判し、その犠牲になってきた暗号資産業界全体にとっての祝福となった。
「ライト氏は2008年から2011年にかけてサトシ・ナカモトというペンネームを採用した人物でもなければ、そのペンネームで活動した人物でもない。ライト氏はビットコインのシステムを作った人物ではない。そして、彼はビットコイン・ソフトウェアの初期バージョンの作者でもない」と、裁判の両当事者が証拠を提出した後、メラー判事は述べた。
暗号資産の採用を保護し、新技術に対する脅威と戦うことを使命とするCOPAは、2021年にライト氏を提訴した。裁判は2月5日に開始され、COPAはライト氏を偽造と、後に偽証で訴えた。
「私はライト氏が法廷で広範囲かつ繰り返し嘘をついていたということに完全に納得している」とメラー判事は述べた。「彼の嘘のほとんどは、彼の主張を裏付けると称した偽造文書に関するものだった」。
Twitterの創設者ジャック・ドーシー(Jack Dorsey)や暗号資産取引所コインベース(Coinbase)などを後援者とするCOPAは、ライト氏がナカモト氏であると主張し、ビットコイン開発者を再び法廷に引きずり出すことを防ぐため、いくつかの差し止めを求めると述べた。
また、イギリス検察当局に対し、ライト氏の裁判中の発言に対して偽証罪の適用を検討するように求める可能性もあるという。
メラー判事は3月、ライト氏が裁判の費用を逃れることができないよう、資産600万ポンド(約11億8800万円、1ポンド=198円換算)相当を海外に移動させたりすることを禁じる世界的な凍結命令を下した。この命令によると、COPAの裁判費用は当時670万ポンド(約13億2600万円)に達していた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:2024年3月1日、裁判所に向かうクレイグ・ライト氏(Camomile Shumba/CoinDesk)
|原文:Craig Wright Lied to UK Court ‘Extensively and Repeatedly,’ Judge Writes