「インターネットの普及率は今後100%に近づき、『インクルージョン』の視点が重要となる」──。
10月2日、東京・目黒で開幕したブロックチェーンカンファレンス「b.tokyo 2019」で、村井純・慶應大学教授がオープニングリマークで登壇、開幕を飾った。2日はほかにも、加納裕三氏(bitFlyer 共同創業者/bitFlyer Blockchain 代表取締役)が講演、Facebookの子会社で、デジタル通貨「Libra(リブラ)」のウォレットを開発するカリブラのビジネス開発ディレクター、キャサリン・ポーター氏も登壇する。b.tokyoは3日まで目黒雅叙園で行われる。
インターネットの歴史と未来
日本初の大学間ネットワークJUNETを、1988年にはWIDEプロジェクトを設立し、インターネット網の整備、普及に尽力したことなどから、“インターネットの父”として知られる村井教授は「インターネット『情報革命』から、ブロックチェーン『価値革命』の新時代へ」と題して講演した。
インターネットを「文明」になぞらえた上で、その歴史を振り返り、「病院内の情報など、いまだネットにつながっていないこともあるが、着実にすべての物事がインターネットにつながってきている。2009年には6%だったネットの普及率が今や60%に迫っている。2025年、2030年と進むにつれ100%に近づいていくはずで、今後はインクルージョン(包摂)が重要となる」などと述べた。
また公開鍵暗号技術について、「インターネットや暗号技術の組み合わせで地球全体で安全にメッセージのやり取りができるようになり、金融取引・ファイナンスにも寄与した」などとも話した。
「地図とコンパス」に
村井教授の講演に先立ち、b.tokyoの主催者N.Avenueの神本侑季社長が登壇、「b.tokyoとは何か︖ 」と題して趣旨について話した。
同社は昨年設立、2019年3月にメディアを立ち上げ、8月にブロックチェーン白書の創刊。そして同日、「インターネット『情報革命』から、ブロックチェーン『価値革命』の新時代へ」を掲げてb.tokyoを開催した。神本社長はこれまでの流れを振り返り、「地図とコンパス」という言葉を挙げて、業界関係者やブロックチェーン・暗号資産に関心がある人が未来を切り開くために必要な存在になるという決意をあらためて述べた。
KPMG、シンプレクスのセッションも
b.tokyoでは2日、このほかにも東海林正賢氏(KPMGジャパン フィンテック・イノベーション部長)による「ブロックチェーン実用化に向けての課題」、三浦和夫氏(シンプレクス金融フロンティア ディビジョン エグゼクティブプリンシパル)による「ステート・オブ・デジタルセキュリティーズ──Simplexが考える『証券のデジタル化』と『金融×IT』の未来」などが行われる。
キャサリン・ポーター氏登壇のセッション「リブラ(Libra)通貨とFacebook『カリブラ(Calibra)』ウォレット」は午後4時50分からの予定だ。
文・写真:濱田 優