ブロックチェーンのユースケースとして期待される2つの大きな取り組みが融合する。三菱UFJ信託、プログマ、JPYC、KlimaDAO、オプテージは、「Progmat Coin(プログマコイン)」基盤を活用して発行されるステーブルコイン「JPYC(信託型)」をブロックチェーンベースのカーボンクレジット(排出権)マーケットプレイスの決済に活用するための共同検討を開始した。
KlimaDAO JAPAN(クリマDAOジャパン)が開設予定のカーボンクレジットマーケットプレイス「KlimaDAO JAPAN MARKET」とProgmat Coin基盤を連携させることで、高い透明性・信頼性・効率性を担保したカーボンクレジットの企業間売買が実現するとしている。
さらに、KlimaDAOがすでにグローバルで展開しているマーケットプレイス「Carbonmark」と連携し、クロスボーダーで世界規模の流動性創出を目指す。その際には、登場が想定されている国産の米ドル連動型ステーブルコインを用いるという。
リリースによると、世界のカーボンクレジット市場の市場規模は約39兆円超、政府など公的組織が認証するカーボンクレジット(日本では「J-クレジット」)のほかに、企業やNGOが発行するボランタリークレジットがあり、柔軟で多様な活用が期待されている。
日本では、2023年10月に東京証券取引所がJ-クレジットを売買する取引所を開設、またボランタリークレジットのマーケットプレイスも存在しているが、いずれもスタートしたばかりで、市場拡大が課題となっている。
KlimaDAO JAPANは、今年2月にCoinDesk JAPANで取り上げたように、すでにグローバルで展開しているマーケットプレイス「Carbonmark」の基盤を利用し、J-クレジットおよび日本生まれのボランタリークレジットに対応したマーケットプレイス「KlimaDAO JAPAN MARKET」を開設、段階的にグローバルベースの流動性を提供するという。二酸化炭素排出量削減はグローバルな課題であり、そのためのマーケットプレイスを日本に閉じることなく、グローバルに連携させることは当然の流れと言えるだろう。またその際、決済にステーブルコインを用いることも同様だ。
とはいえ、カーボンクレジットはパーミッションレス・ブロックチェーン上のトークンとして発行されるものの、パーミッションレス・ブロックチェーンは現状、まだ企業にとっては利用のハードルが高い。そこで、今回の座組みでは、関西電力系のオプテージが企業向けインフラを提供し、銀行送金などでの決済を可能にすることで企業が参加しやすい環境を整えつつ、ステーブルコイン「JPYC(信託型)」を使った決済の実現を目指すところがユニークかつ、現実的と言える。ステーブルコインを使うことで、24時間・365日の決済が可能になり、パーミッションレスブロックチェーン上での当事者間取引も可能になる。
すでにマーケットプレイスは、4月より実証を開始しており、ステーブルコインを使った決済は「フェーズ2」として2024年内の提供を目指している。グローバル連携は「フェーズ3」と位置づけているという。
|文:増田隆幸
|画像:リリースより