米下院、暗号資産規制に向けた「FIT21法案」を可決──党派を超え、多くの民主党員が支持
  • 米下院は「Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act(21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法案)」を279対136で可決、共和党が主導した法案を民主党も支持し、賛成多数となった。
  • 可決は、暗号資産業界にとって、議会での最も重要な成果と言える。

暗号資産(仮想通貨)業界は5月22日、下院が暗号資産市場の規制を確立するための広範な法案を承認したことで、これまでで最大の政策的勝利を収めた。多くの民主党員が党派を超えて支持したことで、279対136という投票結果となった。

「Financial Innovation and Technology for the 21st Century Act(FIT21:21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法案)」は、暗号資産に関する主要法案が初めて下院を通過した事例となった。次は上院での審議となるが、その行方は不透明。こうした取り組みに対する上院での支持は不透明なままであり、必要となる委員会での審議も十分ではない。

米国は、世界の他の地域に比べて暗号資産規制の確立が遅れており、22日の下院での結果にもかかわらず、規制体制はまったく整っていない。

「ルールが必要だ」と、ホワイトハウスと下院金融サービス委員会の重鎮マキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)議員の反対を押し切った民主党のジョシュ・ゴットハイマー(Josh Gottheimer )議員は述べた。同議員はこの法案を「よく考えられた、思慮深く、超党派の法案」と呼び、投票前に「協力して取り組めば、法として成立させるに値する」と主張した。

全体では、民主党71名、共和党208名が賛成票を投じ、共和党3名、民主党133名が反対票を投じた。

バイデン大統領は政策声明で反対を表明したが、最近、議会が米証券取引委員会(SEC)の暗号資産会計政策を覆そうとした際に示したような拒否権行使は明言しなかった。ゲンスラーSEC委員長もまた、長文の声明で強く反対を表明し、既存の証券規制を危険にさらすものだと述べた。

この法案は、主に下院共和党が推進しており、米国の暗号資産市場を規制する体制と消費者保護を確立し、商品先物取引委員会(CFTC)を暗号資産の主要規制機関および証券以外の現物市場の監視役とするもので、暗号資産が証券または商品であることをより明確に定義するものだ。

法案に反対していたウォーターズ議員は、法案は証券法を回避している暗号資産企業に責任逃れをさせるものだと主張した。

「彼らはすでに、違法に暗号証券の発行や売買を促進することで数十億ドルを稼いでいる」「共和党は今、そうした行為を合法化することで、違法行為に報酬を与えようと提案している」(ウォーターズ議員)

22日午後の投票に先立ち、下院は法案に対する修正案を審議した。一部は否決されたが、大部分の修正案は可決された。

|翻訳:Yuta Takahashi
|編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk
|原文:U.S. House Approves Crypto FIT21 Bill With Wave of Democratic Support