JPYC、北國銀行、Digital Platformer(DP)は、ステーブルコインの利用拡大を目指す共同検討を開始したと5月25日に発表した。
北國銀行が発行している預金型ステーブルコイン「トチカ」とJPYCが発行予定の資金移動業型ステーブルコイン「JPYC」への交換を可能にすることで、決済分野や送金などの幅広い分野における利用拡大を目指すという。
JPYCは、パブリックブロックチェーン上で発行・流通するプリペイド(前払式支払手段)型日本円ステーブルコイン「JPYC」の開発運営を行っている。2021年1月に発行を開始し、リリースによると、2024年1月には累計発行額が25億円を突破したという。
さらに現在、電子決済手段に該当する資金移動業型ステーブルコイン「JPYC」の発行および流通の促進を目標に、資金移動業および電子決済手段等取引業のライセンス登録に向けた取り組みを進めているという。
一方、北國銀行およびDPは、決済手数料の負担が大きいためキャッシュレス決済の導入を避けてきた事業者や紙ベースの地域商品券事業などにむけ、ブロックチェーン技術を活用したデジタル地域通貨サービス「トチツーカ」を促進している。「トチカ」はトチツーカ加盟店で利用でき、決済手数料0.5%という低水準を実現している。
「地域に本気のキャッシュレスを実現するために、これまで進めてきたカード決済だけでなく、それを補う新たな選択肢としてトチツーカをスタートさせる。決済手数料が課題になっている事業者の方々、そして地域に紙ベースで発行される地域振興券を取り込み、地域のデジタルシフトを進めることが期待できる」と以前、北國銀行・デジタル部部長の寺井尚孝氏はCoinDesk JAPANの取材で語っている。
今回の取り組みによって、預金型ステーブルコインから資金移動業型ステーブルコインへの交換が可能になれば、ユーザーはパブリックチェーンへのアクセスが可能となり、利用可能な地域の拡大や、利用用途の増加が見込まれるとしている。
そのためには、JPYCの資金移動業ライセンスの取得と、資金移動業型ステーブルコイン「JPYC」の発行が前提となる。資金移動業型ステーブルコイン「JPYC」は2024年夏頃の発行を予定している。
また将来的には、DPによる「電子決済等取扱業」ライセンス取得で、「JPYC」から「トチカ」への交換も検討。さらにJPYCは2024年秋以降、海外ステーブルコインと国内ステーブルコインの交換が可能なステーブルコイン専用取引所サービスを提供予定で、預金型ステーブルコインから海外ステーブルコインまでの取り扱いが可能になるとしている。
今回の取り組みの以外に、JPYCは、三菱UFJ信託銀行、Progmat(プログマ)と「JPYC(信託型)」の発行に向けた共同検討も開始している。
関連記事:プリペイド型ステーブルコインを手がけるJPYCが三菱UFJ信託銀行、Progmatと協業──JPYC(信託型)の発行を目指す
日本のステーブルコインにまつわる法制度は「きわめて難解な法制度」になっている。詳細は、2024年始特集の下記記事(特に後半)に譲るが、とはいえ、ステーブルコインが間もなく、日本でも実際のサービスとして登場することは間違いない。
ステーブルコインに実際に触れることで、日本における利用と用途は拡大していくだろう。
|文:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:リリースより